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「価格サイトの最安値まで値引きしろ」「冷蔵庫が家に入らない!」家電量販店に出没する“ヤバい客”

2021/05/13
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 私もかつて、値引き後価格で22~23万円ほどのパソコンを、「なんとか20万円にならないか?」と値切ろうとするお客さんに1時間以上粘られたことがある。

 こんなときは、とにかく「ウチではこの価格が限界です」と繰り返し、根気比べになる。

50インチの大型テレビを「今すぐ持ち帰りたい」

 32インチ(横幅約70センチ×縦幅約40センチ)ぐらいのテレビならお持ち帰りも可能だ。でもさすがに50インチ(横幅約110センチ×縦幅約60センチ)のテレビとなると配送が基本になる。が! どうしても今晩大型のテレビで見たいものがあるのか? すぐに持ち帰りたいと言ってくるお客さんも。

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 そんなときは困った表情は見せず、なるべくご希望に沿うようにするのが店員というもの。まずは大きな車やトラックで来店しているかを確認。そもそも車で来ていない、あるいは大型テレビが入るわけない車で来店しているお客さんには、なんとか説得して諦めてもらうしかない。

 とある(ちょい)ヤバいお客さんからは、42インチのテレビを持ち帰りたいと言われたことがある。聞けば普通乗用車で来ているのだが、後部座席が倒れるハッチバックだから大丈夫なのだという。こうしたとき、なかなかお客さんに理解していただけないのが、(1)広い店内にある42インチは意外と小さく見える点、(2)箱に入れると緩衝材で上下左右が10cmは大きくなる点だ。売り場のテレビを見ただけで、車に積み込めそうなのか判断するのは危険なのだ。

 このときはあまりに粘られたため、だいたいの箱の大きさをメモした紙と、レジにある巻尺をお貸しして「一度車内のサイズを測ってみてはいかがでしょう?」とやんわりご提案した。もちろん、「入りませんでした。配送でお願いします」となったのだが、店員のアドバイスはできるかぎり最初から聞いていただきたいものだ。

倉庫に直接取りに行ってもらうケースも

 一方、大きな車で来店していた場合は、店舗の在庫を確認して、あればお客さんの車を店に横付けしてもらい、そこまで運んで差し上げる。

 でも大型家電は配送が基本なので、店舗の在庫はないことがほとんどだ。それでも持って帰りたいと頑なに主張するお客さんも稀にいるので、そんなときは倉庫の在庫を確かめてストック! 

 私が勤めていた店舗では、お客さんには店のある秋葉原から埼玉の八潮(首都高にのれば30分ぐらい)の倉庫まで自分で取りに行ってもらうようお願いして、住所と連絡先を渡し、伝票と引き換えに受け取ってもらうケースもあった。