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「価格サイトの最安値まで値引きしろ」「冷蔵庫が家に入らない!」家電量販店に出没する“ヤバい客”

2021/05/13
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家のサイズも測らずに大型家電を買おうとする客

 また、特に頻発するのが、冷蔵庫や洗濯機が家に入らない!というトラブル。店ではトラブル防止のために、設置スペースの幅、奥行き、高さを聞く問診票がある。大抵はお客さんもメジャーでしっかり測ってから来店してくれるのだが、残念ながら親指と人差し指を伸ばして適当に測ってくる方もいる。話していてヤバさを感じたら、今使っている冷蔵庫の型番や種類を聞いて、そこから設置スペースの寸法を割り出すことも。

 だが、これは怪しいなと思っていくら丁寧に聞き取りをしたとしても、「絶対に入るから!」と言い張って聞かない人もたまにいる。そしてイザ配送日に現場へ持っていくと、やっぱり入らないのだ。他にも、無理やり置いたは良いけどスペースに余裕がなくてドアが開かない、あるいは水栓などの突起にぶつかってしまうといった例も。

「絶対に入るから!」と言われて大型家電を搬入するも、やっぱり入らないこともしばしば…… ©iStock.com

 さらに多いのは、搬入経路の障害だ。玄関ドア、ターンできない廊下や階段、進路を狭くするタンスなどの家具の数々……。階段の取っ手に引っ掛かってそれ以上入らない、なんかもよくある話。

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 こんなときは、いったん家のドアを外したり、取っ手を外したりという大工事になる場合もある。また、上階にはクレーンで吊り上げて押し込むなんてことも。

搬入手数料を「俺は絶対払わない!」

 それでも最悪なのは、どうやっても入らなかったケースだ。これはお客さんの責任なので、返品交換ができない場合もある。大きな販売店だと交換に応じてくれることもあるけれど、搬入手数料が取られる可能性もある。だが、そこで再び「俺は絶対払わない!」などと文句を言ってくる最凶のクレーマーも存在すると聞く。

 え? なんで他人事かって? それは、クレームを直で受けるのは、委託先の配送員さんだから。僕らにとって世紀末救世主さま! ATフィールドなのだ。だから私たち店員は、配送員さんからの報告を見て「あっさり想像を超えてくるヤバいお客さんっているんだね」と、ぞっとしつつも胸をなでおろせるのだ。