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2021/05/06

 接待や仕事帰り、専属バンドの演奏をバックに、お気に入りのホステスと歌う贅沢。歌詞とはいえ、歌えばとりあえず「好きになったの、もっと抱いて」と言ってもらえるのだ。顔じゅうの筋肉が緩まったに違いない。

 もちろん、そんなコソコソウフフソングばかりではない。1960年代は、青春スターによる「アオハルデュエット」も名曲揃いだ。

 橋幸夫&吉永小百合の「いつでも夢を」や山内賢&和泉雅子の「二人の銀座」から溢れる若さと希望よ。聴くだけで生きるエネルギーのシャワーを浴びる感覚が本当に心地よい。ただ、この2曲とも、一つのマイクに二人が顔を寄せ合い歌うスタイル。今はこの間に仕切りが入る時代になったのだなあ、と少し切なくなる。

19歳とは思えない色気にドキドキ

 さて、高度成長期が終わり、不景気など時代の不安が大きくなってきた1970年代。音楽的にフォークソングやニューミュージックが花盛り。デュエットソングも口説きソングが減り、今歌っても十分通用しそうな内容が多いのが興味深い。

 1974年に大ヒットした「貧しさに負けた いえ世間に負けた」という衝撃的な歌詞から始まる「昭和枯れすすき」(さくらと一郎)は、昭和を「令和」と変えるだけで、かなり状況がマッチ。時代は巡るものだと妙に感心する。全く嬉しくない繰り返しだが。

 郷ひろみと樹木希林の「お化けのロック」(1977年)は大ヒットドラマ「ムー」、「林檎殺人事件」(1978年)は、「ムー一族」の挿入歌で、恋愛とはまた別の摩訶不思議な世界だ。今見てもじゅうぶん新しく、フリ&仮装込みで、動画映えする曲である。

畑中葉子(1981年撮影) ©共同通信社

 そしてなんといっても1978年の「カナダからの手紙」(平尾昌晃&畑中葉子)。平尾昌晃の「いつもあなたがぁ~ん♪」というねっとりとした歌唱と、19歳とは思えない畑中葉子の色気ある艶やかな声は、いつ聴いてもドキドキする。 

 しかし歌詞を改めて読むと、カナダからのラブレターを読み上げているソーシャルディスタンスなラブソングだった。今なら「カナダからのZoom」という感じだろうか。

 会えない気持ちを歌う遠恋デュエットソングは、皮肉にも今の時代しっくりくる。

不倫、浮気、セクハラ…80年代は炎上案件ばかり!?

 1980年代になると、70年代に登場したカラオケがどんどん進化し、カラオケと相性がいいデュエットソングが大豊作。景気が良くなって人々も元気が戻ってきたのだろう。歌詞も、昭和30年代の「東京ナイト・クラブ」系とはまたテンションが違った下心ムンムン、「あわよくば」の嵐だ。