1ページ目から読む
2/5ページ目

 ちなみに好きな家事は洗濯だそうだ。

「洗濯機がぐるぐる回ってるのが好きなんです。『おお、きれいになってる、なってる』ってずっと眺めてられます。あ、ごめんなさい。これって、スイープしてるから『掃除』って言わせる質問でした?」

 レジェンド的存在でありながら、少し天然。そんなキャラクターでチーム内外から絶大な信頼と尊敬を集めている、彼女の言動から目が離せない。

ADVERTISEMENT

カーリング界最強の筋肉女子

 船山と同じく小野寺佳歩はチーム発足時からのオリジナルメンバーで、この春でちょうど結成から10年という節目を迎えた。

サードの小野寺佳歩。好きな食べ物はラーメン。「醤油か味噌が好きですけど、最近は味噌かな。札幌だったら『銀波露』、北見だと『麺屋 創介』」 ©️JCA IDE

「10年を超えてフォルティウスというチームが続いていて、負けている時期は長かったけれど、毎日、充実していました。あっという間でしたね。メンバーは代わっても、(小笠原)歩ちゃんは指導に携わってくれているし、ちな(吉田知那美/ロコ・ソラーレ)もたいらちゃん(苫米地美智子、旧姓・平/チーム苫米地)にもいつも大会で会えて嬉しい。そんなチームの一員でいられるのが誇らしいです」

 そんな思いを語ってくれたこともある。前述のようにインターハイ出場経験があり、身体能力の高さは誰もが知るところだが、そのストロングポイントをさらに強化すべく、彼女は「カーリング筋肉部」に所属している。

 これはSC軽井沢クラブの山口剛史を部長に据えた、チームの垣根を超えたトレーニング分科会のようなもので、チームメイトの近江谷杏菜(31)、コンサドーレの清水徹郎や谷田康真ら、部員は6人。山口部長は「筋肉部の門は常に開いています。筋肉を育てたいカーラーは連絡ください」と勢力拡大を企んでいるようだが、「筋肉は友達」と、どこかで聞いたようなフレーズをモットーに、パワースイープを繰り返しても疲れない肉体作りに取り組んでいる。

 チームのトレーニングに加えて、この筋肉部の活動で効果的なトレーニングを積んだせいか「疲れは実感するんですけれど、パフォーマンスが落ちなかった。長い大会でも戦えるフィジカルがついてきたなと感じた」と小野寺は今季を振り返る。優勝した日本選手権では出色のパフォーマンスで好ショットに加え適切なスイープでキーショットを運んだ。男子チームからは「MVPこそ紗也香だったが、佳歩の仕事なしでは実現しなかった」との声も聞こえてきた。

 チームとしては6年ぶりの世界選手権の舞台だが「チームの状態としてはいい。戦える自信はある」といい状態でカルガリー入りができたようだ。現地の隔離期間中は日本から持ち込んだ縄跳びで筋肉維持に努めた。クオリファイ(決勝トーナメント進出)は彼女のパワースイープにかかっている。