4月30日(現地時間)にカナダ・カルガリーでカーリングの女子世界選手権が開幕した。
クオリファイ(6チームによる決勝トーナメント進出)を果たせば、来年の北京五輪出場枠を獲得。日本は1998年長野から7回連続の五輪出場となる(※北京五輪に出場する日本代表チームは、9月10日から稚内で行われる北海道銀行とロコ・ソラーレによる五輪代表決定戦で決まる)。
日本からは2月の日本選手権で優勝した北海道銀行フォルティウスが代表チームとして世界に挑む。個性的なメンバーの素顔と秘められたエピソードを紹介したい。
レベチな母親カーラー
まず、北海道銀行フォルティウスを語る際に欠かせない存在がリードの船山弓枝(43)だ。2010年のチーム結成時のメンバーでチーム最年長。2002年のソルトレークシティ、2006年トリノ、結婚と出産をはさんで2014年ソチと、3度の五輪出場は小笠原歩(カーリング協会理事)、本橋麻里(ロコ・ステラ)と並んで日本カーリング史上最多だ。ただ、4度目の五輪である北京へ、という意味では自身の中で葛藤があった。
「2018年の平昌代表になれなかった時、次の北京を目指そう。4年間頑張ろう。そう決めたんですけれど、やっぱりこの年齢になると1年1年が大事で。シーズンが終わる時に毎年、『体力的にもメンタル的にも大丈夫なのか。世界と戦う技術や能力を維持、向上できているのか』と自問しながら、パフォーマンスが下がったら退こうと思っていました」
そんな決意を抱いてカーリングに向き合っていた近年だったが、本人の危機感や不安を一蹴するのはサードの小野寺佳歩(29)だ。陸上の七種でインターハイ出場経験があり、カーリング界でも屈指のアスリートである彼女が、「今季は特に、陸上トレーニングの経験がある私でも辛いトレーニングだったので、本当に大変だったと思います。その中でも弓枝ちゃんは本当にすごかった」と脱帽する。
「年齢に逆らっているというか、想像を超えるフィジカルのレベルアップの仕方です。人間ってやれば変わるんだなということを教えてくれる存在ですね。私がその年齢であんなタフにトレーニングできるかといえば、うーん、限界を自分で作っちゃいけないとは思うんですけど、やっぱり無理かもしれない」
卓越した主婦力と天然キャラ
昨年、札幌市内の一般男性と入籍をし、新妻となったスキップの吉村紗也香(29)も同意する。
「何がすごいって、みんなと同じ量のトレーニングをしてから家事をこなして、お子さんの面倒をみて、遠征の前には留守中に使うお子さんの服や必要なものを準備して……見習うところばかりです。私ですか? まだまだです」
そんな卓越した主婦力はチームマネジメントでも発揮される。コロナ禍の今季こそ海外遠征は今回の世界選手権のみになってしまったが、それ以前のカナダのツアーなどではチームの胃袋を満たす料理長の役割も担っていた。本人は語る。
「そんなに難しいものは作ってないですけれど、定番の調味料と出汁さえ用意しておけば、現地の食材でなんとかなってました」