カーリングの国内最大タイトルである「第37回全農日本カーリング選手権大会」が軽井沢アイスパークで開催中だ。

 2022年北京五輪の国内選考にも関わってくる今季の日本選手権、キーワードには「対応力」が挙げられる。

新品のストーンにはそれぞれ顕著なクセがある

 JCA(日本カーリング協会)は昨季の終盤に、カーリングストーンを一式、新調している。ストーンに使われる素材は天然の花崗岩のため、特に新品のストーンはそれぞれのクセが顕著だ。曲がりやすい石、あるいは予想より進まない石が混在することがある。

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 この新調されたストーンを日本選手権で使うのは初めてで、開幕前から軽井沢入りしているチームが多い中、石に触れることができるのは全チーム平等に開幕前の公式練習の15分間だった。

男女9チームずつ、計18チームが参加。今季はワイルドカード枠などが新設された

 あとは実際のゲーム中と毎晩、すべての競技が終わった後に設定される「ナイトプラクティス」と呼ばれる7分間の限られた時間のみだ。その中で石のクセを把握し、ゲーム中の状況やショットの性質によってうまく使い分けなければいけない。

加えて海外基準のアイスに、ストーン研磨

 さらに、今季の日本選手権では、16年ぶりにアイスメーカーを海外から迎えた。これまでは会場となるカーリングホールの製氷担当者がアイスを作っていたが、今大会は平昌五輪をはじめ世界レベルの大会で製氷を担当してきたカナダのハンス・ウーリッヒ氏がチーフアイスメーカーを担っている。世界ではスタンダードである曲がり幅の大きなシートへの対応が勝負の分かれ目になりそうだ。

 そして、そのウーリッヒ氏率いるアイスメークチームは、初日の競技3試合を終え、想定よりも曲がり幅が小さかったのかストーンの研磨を決定した。サンドペーパーを使用してストーンの裏側、接氷面を削ってごく小さなエッジを生む。それによって、ストーンがアイスを噛み、カール(曲がり)しやすくする狙いだ。ウーリッヒ氏はチーフアイスメーカーであった平昌五輪でも、このストーン研磨の決定を下したことでも話題になっている。

前回大会覇者の中部電力。ホームアイスの軽井沢アイスパークで連覇を狙う

 海外基準のアイスに新品のストーン、それに研磨が加わり、不確定な要素は例年になく多い。それらにアジャストする、情報戦といった側面もカーリングには存在するのだ。

 その情報を着実に集めながらチーム状態を上げているのが、優勝候補筆頭のロコ・ソラーレだ。大会初日を連勝スタートで飾り、ストーン研磨後の2日目にも白星を加え、3連勝の好スタートを切った。