野球コラムの書き方を楽しく学ぶ「文春野球学校」のメンバーが、ほとばしる野球愛で執筆した「偏愛選手名鑑」。通常の野球名鑑には載っていない情報と情熱をお楽しみください!

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[はじめに]
7連敗後に15戦負けなし。からの、交流戦負け越し。晩夏の失速で貯金散財。そしてCSの3試合。どんな乱気流にもボス鷗は飄々と群れを率いた。成長した若鷗が球宴や台湾へ出張った。一羽は海を超えた。“VISION2025”の最終年、群れはうまく旅を続けられるかな。上昇(常勝)気流に乗って、頂のてっぺんまで。
(マリーンズ執筆チーム監督:いせや)

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【監督】

81  吉井 理人  (よしい まさと)  1965年4月20日生まれ
監督就任3年目、選手には「主体性」を求め、「機嫌のよいチーム」を目指す。科学を愛した少年時代に感銘を受けた科学者アインシュタインの言葉を引用する一方、好きな音楽と競馬に譬えて選手たちを鼓舞する一面も。 (ミ)

リアルトレカと映画特典  撮影:KAORU/文春野球学校

【投手】

11  澤村 拓一  (さわむら ひろかず)  1988年4月3日生まれ
昨年は最愛の祖母に会うために故郷・栃木に足繫く通うも4月に逝去、お立ち台で思いを伝えた。一般女性と結婚、「結婚やお金の額で責任感は変わらない」と語る。復帰3年目、優勝への思いも変わっていない。 (ミ)

12  石川 歩  (いしかわ あゆむ)  1988年4月11日生まれ
チームでは生え抜き投手で現役2位の79勝。一昨年は右肩手術、昨季は育成契約からリハビリを経て復帰、6月30日に669日ぶりの勝利の美酒、お立ち台で代名詞の「絶景で~す」も飛び出した。歩みは止めない。 (ミ)

14  小島 和哉  (おじま かずや)  1996年7月7日生まれ
2年連続開幕投手で12勝を挙げ、4年連続規定投球回数をクリアした。1票差だったGG賞を狙うべく目標は180イニングで優勝の為に一生懸命に腕を振る。ちなみに歴代のユニのお気に入りは誠ユニ。ファンも見たい。 (香)

15  美馬 学  (みま まなぶ)  1986年9月19日生まれ
昨季は3試合登板したが8月に右膝の靱帯を痛め、プロ14年目にして初めて未勝利に終わった。年末のマリーンズキャンプに参加し新たな料理を披露した。投手最年長の今季から、新たに連続記録を作って欲しい。 (香)

16  種市 篤暉  (たねいち あつき)  1998年9月7日生まれ
1-0でリードの8回、1死三塁で打者2人に直球を9つ続けて牛耳るのが種市。5回まで完全投球も、6回に6点失うのも種市。矜持と責任感の塊は念願の規定投球回に到達した。今季は2桁勝利と奪三振王を目指す。 (い)

18  二木 康太  (ふたき こうた)  1995年8月1日生まれ
巻き返しの一歩は肘を下げた新しいフォームの完成からだ。21年の開幕投手を見て号泣したり、台風で帰りの心配をしてくれたヒロインを聞いて感動したあの頃のまぶしい姿が見たい。中継ぎで優勝へのピースになる。 (香)

19  唐川 侑己  (からかわ ゆうき)  1989年7月5日生まれ
8月10日のオリ戦は7年ぶりにホームでの先発勝利。戻った益田と唐川がベンチ前で静かに抱擁するシーンは印象的だった。35歳は「毎回これが最後だと思って」マウンドに上がる。今季もまたあの“魔球”に会える。 (い)

21  石川 柊太  (いしかわ しゅうた)  1991年12月27日生まれ
ソフトバンクから移籍
マリンの風の使い手が味方になり、吉井監督の背番号を継承。野手も、解説者さえ試合展開の速さを喜ぶそのテンポ良い投球スタイルが特徴的。自身のYouTubeではロッテのお菓子を食べてチームへの理解を深めた。 (香)

24  東妻 勇輔  (あづま ゆうすけ)  1996年4月4日生まれ
一昨年は2021年に次ぐ36試合に登板。「スーパークイック」に活路、と思いきや再び道に迷い昨季は6試合。それでも二軍で30試合以上投げる体力は貴重。隔年活躍がお約束なら今年は期待大。退路を断つ7年目。 (い)

28  菊地 吏玖  (きくち りく)  2000年6月13日生まれ
2年目の昨季、ドラ1は「吉井さん」から教わったフォークで一軍定着。カメラに向ける変顔、ベンチで出す声、スタンドへのお辞儀も、常に先頭に立ち、全力。なのに9月、プロ初勝利の時は目が死んでいたのが、いい。 (い)

29  西野 勇士  (にしの ゆうじ)  1991年3月6日生まれ
かつて2年連続で30セーブ超えの右腕は育成入団から16年目で国内FA権を獲得、宣言せず残留。トミー・ジョン手術から復活して3季目の昨季は自己最多タイの9勝。今季は自身初の2桁勝利、規定投球回数到達を。 (ミ)

30  廣畑 敦也  (ひろはた あつや)  1997年12月3日生まれ
一昨年に続いて一軍で8試合のみは残念。それでも6、7月に11回1/3投げて与四球ゼロは進化の証しだと思う。無類の珈琲好き。焙煎に拘り湯の一滴に細心を払うバリスタのように、自身の香りを引き出してほしい。 (い)

31  大谷 輝龍  (おおたに ひかる)  2000年7月11日生まれ
6月から8月下旬までは二軍でも投げず。10月3日、ホーム最終戦の4番手。投球動作が春先よりもお手本の岸孝之(楽天)に近づいて見えた。先頭に単打を許すも、後続を3者三振。独立リーグドラ2がデビューした。 (い)

33  八木 彬  (やぎ あきら)  1997年5月26日生まれ
大卒社会人入団3年目の昨季、サブロー二軍監督の助言でツーシームを磨き、ファームで防御率2.12と好投、9月に一軍昇格、プロ初ホールド。今季はマリンで登場曲"It's My Life"も多く聴けそう。 (ミ)

34  高野 脩汰  (たかの しゅうた)  1998年8月13日生まれ
6月のプロ初勝利はブルペンデーの2番手で、吉井監督の100勝目。その監督が「今季は先発起用で」。オフの「和田塾」では同じ出雲育ちの毅氏が「去年とは全く別人」と太鼓判。「別人34号」の左腕が火を噴くか。 (い)

35  田中 晴也  (たなか はるや)  2004年6月6日生まれ
高卒2年目の昨年6月、チームが11連勝を懸けたホームでの阪神戦でプロ初登板初先発、5回無失点も勝利を逃し、7月3日の日本ハム戦で5失点しながらプロ初勝利。今季は開幕ローテ入り、新人王の期待が高い右腕。 (ミ)

36  坂本 光士郎  (さかもと こうしろう)  1994年9月9日生まれ
ZOZOマリンでは「愛の世代の前の暴風雨の中~」という浜田省吾の歌声に乗って登場する左腕。昨季、左打者には被打率.348も、右打者の被打率は.190でソフトバンクの山川穂高、今宮健太を無安打に抑えた。 (ミ)

37  小野 郁  (おの ふみや)  1996年10月23日生まれ
右肘の手術から回復して昨季最終盤に一軍昇格し3試合に登板した。今季は韓国チームとの練習試合でも無失点で抑えた。年末のマリキャンに初登場し、熱血シェフと命名された。優勝へ向けて欠かせない中継ぎの一人。 (香)

40  西村 天裕  (にしむら たかひろ)  1993年5月6日生まれ
キャリアハイだった一昨年の44から17へ、昨季は登板数が激減。開幕一軍も四球の多さが気になった。相手の研究成果か、動作のズレか。今オフも盟友・青柳晃洋と鍛えた。「ミットを突き抜ける」直球の復活を待つ。 (い)

41  一條 力真  (いちじょう りきま)  2003年2月10日生まれ
東洋大からドラフト3位
常総学院では甲子園出場なし。東洋大学ではリリーフとして大車輪の活躍。モデルへの夢を断ち「自分には野球しかない」と覚悟のプロ入り。速球とフォークが武器だが、本人曰く「急がば回れ」の精神で謙虚に取り組む。 (ミ)

42  B.サモンズ  (ブライアン・サモンズ)  1995年4月27日生まれ
タイガースから新加入
昨季、29歳でMLBデビューの苦労人は平均球速147km/hの直球の被打率.059。マイナーでは先発要員も50球超で打ち込まれた傾向あり。フライボール投手だが多彩な球種でマリンの風を味方につけたい。 (ミ)

46  岩下 大輝  (いわした だいき)  1996年10月2日生まれ
一昨年は回を跨ぐと左半身が痺れて固まった。その国指定難病から復帰。感服です。 一軍で21回2/3、二軍で30回2/3を投げ、どちらも防御率3前後と安定。今季は通年で活躍を。先発と中継ぎ、どちらだろう。 (い)

47  鈴木 昭汰  (すずき しょうた)  1998年9月7日生まれ
昨季は51試合に出場しオールスター、侍ジャパンにも初選出。27試合自責点0、年間防御率0.73の数字にちなみ「ミスターゼロ」と千葉市消防局のポスターで紹介されている。ギアを上げて更に上を目指す。 (香)

48  中村 稔弥  (なかむら としや)  1996年7月8日生まれ
梶原広報の悩み相談室では初めは特に悩みが無いと言っていたものの結局喋りが苦手と返答。ヒーローインタビューに呼ばれ優しい話し方を聞きたいとファンは待っている。回跨ぎも出来る安定した投球で中継ぎを支える。 (香)

52  益田 直也  (ますだ なおや)  1989年10月25日生まれ
移籍組を食事に誘い、自分の後継となるべき若手に温かな檄を飛ばす。そして自身の鉄腕も粉にする。全てはチームの優勝のために。世の中は評論家気取りばかりで、抑えを責めることで野球を語った気になってるけれど。 (い)

53  木村 優人  (きむら ゆうと)  2005年6月1日生まれ
U18W杯代表で世界一に貢献。高卒新人の昨季は二軍戦の7月4日、ZOZOマリンでの対巨人戦でプロ初先発を含む、11試合登板で防御率2.37、1年で14kgの増量にも成功。一軍初登板が待ち遠しい右腕。 (ミ)

54  A.ボス  (オースティン・ボス)  1992年6月26日生まれ
マリナーズから新加入
ボスの表記は“Voth”。下唇も舌も噛む。直球は150km/h前後で、重さよりも伸びが印象的。カーブの曲がりが大きい。右打者は仰け反り、左打者の膝下に落ちる。MLBでは中継ぎだが監督も本人も先発希望。 (い)

56  中森 俊介  (なかもり しゅんすけ)  2002年5月29日生まれ
昨季は先発に本格挑戦も一軍で5試合登板、1勝と前年を下回った。オフは西野勇士と共に米国シアトルの「ドライブライン」を訪問、アリゾナで自主トレ。直球を磨き、新スライダーも覚えた。開幕ローテ入りを目指す。 (ミ)

59  早坂 響  (はやさか おと)  2005年7月26日生まれ
地元・松戸出身。幕張総合高校入学当初は捕手ながら2年秋に投手へ転向、球速アップでドラフト4位指名。新人の昨季は二軍で7試合登板、体重は7kg増。実は「幕張の奇跡」を目撃した生粋のマリーンズファン。 (ミ)

60  横山 陸人  (よこやま りくと)  2001年8月5日生まれ
昨季初の開幕一軍入りを果たし2回目の侍ジャパンに選出された。中継ぎで最多セーブ、最優秀中継ぎを目指す。入団時は佐々木朗希と髭男の「コーヒーとシロップ」を毎朝聴いていた。2人が代表で継投するのが見たい。 (香)

62  坂井 遼  (さかい はる)  2006年5月8日生まれ
関東第一高からドラフト4位
地元・富里市出身、夏の甲子園では5試合に登板、決勝戦では押し出し四球で敗れたが、最速151km/h、18回2/3を自責0で準優勝に貢献。「どんな時も全力で投げなさい」と見守ってくれた母のために優勝を。 (ミ)

64  廣池 康志郎  (ひろいけ こうしろう)  2002年9月16日生まれ
東海大九州キャンパスからドラフト5位
地元都城市が今季よりキャンプ地として選ばれプロ野球選手として凱旋した最速153km/h 右腕。入団会見ではフラッシュの眩しさに頑張って目を大きく開けて対応する誠実さを見せた。牛を愛しグラブに刺繍した。 (香)

66  澤田 圭佑  (さわだ けいすけ)  1994年4月27日生まれ
2022年のトミー・ジョン手術後は順調。抹消期間は長いが、昨季は一、二軍で各21試合、計41回を投げた。昨秋黒木コーチに教わったというスライダーが楽しみ。マリキャン部・澤田隊長が投手陣の着火剤になる。 (い)

92  国吉 佑樹  (くによし ゆうき)  1991年9月24日生まれ
移籍初年度の活躍からイップス状態となり2022年、2023年と一軍登板数は1桁も昨季は復活。9月5日、本拠地での楽天戦、球団新記録の22試合連続無失点を達成した瞬間、グラブを右手で叩いて自ら祝福した。 (ミ)

97  T.ゲレーロ  (タイロン・ゲレーロ)  1991年1月9日生まれ
エンゼルス傘下から復帰
2022年49試合に登板した頼れる右腕が復帰。最速155km/hのスプリッターを投げていたが、キャンプで吉井監督にフォークの投げ方を教わった。今季の目標は「60試合登板」と「自己最速168km/h」。 (ミ)

Take Me Out to the “ZOZO”  撮影:いせや/文春野球学校