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 実際、映画ファンや批評家からの評価も高い。SNSには「映像も音楽も、キャラクターの描き方も全部良かった」「泣かないと思っていたけど泣いた」と高評価の書き込みが並ぶ。中には「もう一度見に行く」というリピーターの姿もあった。

 映画批評サイト「ロッテン・トマト」では95%の高評価を得た。大手映画データベース「IMDb」でも10点満点中8.4点がついている。ユーチューバーで映画批評家のクリス・スタックマン氏は自身のチャンネルで、「テレビアニメ版から物語が直接続いている映画は昨今珍しい」と解説し、「今まで見たアニメ映画で1番良かった」と絶賛。さらに「テレビアニメ版を見た人は、劇場版も絶対好きになるはず」と勧めた。

公式ツイッターでは主演声優らによる米国ファンへのメッセージも

「テレビを見ていないと理解しにくい」という評価も

 スタックマン氏のいうように、劇場版「鬼滅」はテレビアニメ版第1期にあたる「立志編」からストーリーが連続し、第2期の「遊郭編」(2021年放送予定)へと続いていることが魅力の一つ。米国でも「立志編」は動画配信サービスのHuluやNetflixなどで配信され、人気を呼んだ。

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 だが、裏を返せば、テレビ版を見ていなければ劇場版の物語を理解しにくいというマイナスポイントでもあった。映画批評家のデービッド・エーリッヒ氏は、映画レビューサイト「IndieWire」で、戦闘シーンなどのビビッドな描写が「新鮮」と評価しつつも、「テレビアニメ版を完走していない人にとっては、目を開けているのがやっとだろう」とC評価(上はAから下はFまでの6段階評価)を付けた。

英語版映画ポスター
英語版映画ポスター

 鬼滅人気は米国のみならずアジアでも高いが、韓国では主人公の竈門炭治郎の耳飾りが旭日旗を想起させるとして問題になり、耳飾りのデザインが差し替えられる。一方、米国では「Tanjiro’s Hanafuda earrings」などと呼ばれ、国内同様、ネット上で模倣品が販売されるなど、政治的な問題にはさほどなってないようだ。

ロサンゼルスではこんな広告電車も

 人口の30%がすでに新型コロナウイルスのワクチンを接種した米国。パンデミックの影響で映画館も一時期は閉鎖を余儀なくされたが、劇場版「鬼滅」の大ヒットはコロナ前のにぎわいを取り戻しつつあることを表しているだろう。