「最後にフェリーに乗せてあげたかった」
事件発覚の約1週間前、田中容疑者は2人の実子を連れてレンタカーで“最後の家族旅行”へと出発した。2月18日には福岡市博多区でレンタカーを借りた記録が残っている。
「その後、田中容疑者は宮崎県に向かい、知人に金の無心をしたり観光したりしたことが明らかになっています。しかしレンタカーのガソリンが切れたため同県串間市の商業施設に車を放置し、電車で鹿児島へ向かいました。殺害の現場となった桜島のホテルには2月24日にチェックインしています。田中容疑者は桜島に来た理由について『最後に(蓮翔ちゃんと姫奈ちゃんを)フェリーに乗せてあげたかった』と供述している」(同前)
この旅行の間、田中容疑者は大翔くんの通う小学校に連絡をいれている。彼の死を隠すためか「遅れて登校する」などと伝えていたという。
当時、田中容疑者らは飯塚市の県営団地で、父1人、子供3人の親子4人で暮らしていた。近くに住む高齢男性は「田中さんたちが引っ越してきたときは、奥さんも養子の大翔くんもいなくて、親子3人の父子家庭だと思っていました」と振り返る。
田中容疑者と子供たちの「異様な遊び方」
「田中さんと下の子2人が引っ越してきたのは2020年5月。それまでは福岡市東区に住んでいたようです。田中さんが半袖を着ていたとき、腕の入れ墨がすごくて、『あんたヤクザか』って聞いたら、田中さんは『若いころに●●(北九州の指定暴力団)にいたことがある』と。
でもその後、元奥さん(亡くなった3人の子供の母親。現在は離婚)と大翔くんが合流して、一家5人の生活が始まったんです。夫婦ともに仕事をしている様子はなく、生活費が足りないというので数万円を貸したこともあります」
入れ墨を隠そうとしない田中容疑者は、近隣では少し浮いた存在だったようだ。田中容疑者と子供たちの「異様な遊び方を目撃した」という近隣女性はこう述懐する。
「あの入れ墨でしょう? 乗っている車の窓ガラスには黒いスモークが貼られていて中が見えないようになっていたし……。だからあの家族にはなるべく近づかないようにしていました。
それにある時、あたりが薄暗くなってから、田中さんがお子さんと遊んでいたことがあったんです。でもその遊び方が“異様”でね。おもちゃの車に乗った小さい子に『走れー!』『逃げろー!』と指示をして追いかけ回していた。それも小さい子をあやすような言い方ではなくて、田中さんが怒鳴るように叫んでいたの。普通の遊び方じゃありませんよ」