2月26日、自宅から南に約230キロ離れた鹿児島県・桜島の麓にある観光ホテルで、実子である蓮翔(れんと)ちゃん(当時3)と姫奈(ひな)ちゃん(当時2)の首を絞めて窒息死させたとして、4月に殺人容疑で逮捕された福岡県飯塚市の職業不詳、田中涼二容疑者(41)。自宅では病死とみられる養子の大翔(ひろと)くん(当時9)の遺体も発見された。

 田中容疑者は取り調べに対し2人を殺害した容疑を認め「刃物で刺して殺そうとしたが暴れたため、首を絞めて殺した」と供述。蓮翔くんの体の前面には刺し傷もあったという。(全3回の2回目/#1を読む)

大翔くんの遺体が発見された田中容疑者らが住んでいた県営住宅 ©文藝春秋

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《ごめんね。ありがとう。ママ》というメッセージ

「田中容疑者は養子が病死した後に実子2人を殺害し、自らも首を切るなどして自殺しようとしたが死にきれなかった。ホテルの部屋からは《全部自分が悪い》《3人で一緒に死ぬ》などと書かれた遺書も発見されています。捜査員がホテルの部屋へ突入した際、田中容疑者がベランダから飛び降りて逃走を図り腰の骨を折るなどの重傷を負ったため、けがの回復を待って4月26日に逮捕されました」(大手紙社会部記者)

 田中容疑者が逮捕された4月、一家が住んでいた部屋の前には《ごめんね。ありがとう。ママ》というメッセージとともに花が置かれていた。近隣に住む女性は、田中容疑者の元妻であり亡くなった子供たちの母親でもある女性について、こう述懐している。

田中容疑者が殺害した蓮翔ちゃんと姫奈ちゃん(「FNNプライムオンライン」5月6日配信より)

「以前、元奥さんが田中さんと夫婦喧嘩をして『殴られた! 助けてください! 警察を呼んでください!』とうちへ飛び込んできたことがありました。『旦那と別れたい』と言っていたけど、メッセージは自分が出ていかなければ死なずに済んだのに、ごめんねという母親の思いなのかな。元奥さんは、私の足が悪いのを気遣ってか、朝のゴミ出しの時『ゴミがあったら私が持っていくので置いておいてください』と言ってくれることもあってね、優しい人だった」

 元妻は愛する我が子を置いて逃げざるを得ないほど追い詰められていたのだろうか。

 しかし取材を進めると意外な証言も出てきた。田中容疑者と親交があった近隣の高齢男性によると「そもそも田中さんは元奥さんから逃げるためにこの団地に引っ越してきた」というのだ。