昭和34年(1959年)創刊の総合週刊誌「週刊文春」の紹介サイトです。最新号やバックナンバーから、いくつか記事を掲載していきます。各号の目次や定期購読のご案内も掲載しています。

2021/06/10

source : 週刊文春出版部

genre : エンタメ, 読書, 芸能, 映画

6枚のポラロイド写真

 それは、新製品と呼ばれる物にまったく興味のないウディに、誰かがプレゼントした物だった。贈り主は「これは本当に簡単だから、あなたでも使えますよ」と言ったが、ウディは自分には扱えないからと、放っておいたものだ。だが、スンニはすぐに使い方を理解し、ウディに教え、そして、ウディがカメラマンに、スンニがモデルになった。ウディは、それらの写真を誰にも見られないよう引き出しにしまったが、何枚かは、撮影に夢中になるうち、うっかり暖炉の上に置きっぱなしにしてしまった。それが、よりにもよってミアに発見されてしまうのである。

©iStock.com

 ウディがモーゼスとディランの正式な父親になってまもない1992年1月13日、ミアは、サチェルを連れて、ウディの家を訪れた。この日は、撮影中の「夫たち、妻たち」でミアの出番がない日で、ミアは、サチェルのために子供の心理カウンセリングの予約を入れていたのだ。カウンセリング好きなウディは、まだ幼いディランとサチェルにも、定期的にカウンセリングを受けさせていた。ディランは空想と現実をごっちゃにしがちなこと、サチェルは白雪姫やシンデレラに憧れたり、女の子の服に興味を持ったりすることを、ウディが心配したからだ。ウディは仕事で留守だったため、ミアは、玄関の傘立ての下に隠してある鍵で家に入った。カウンセラーがやってくると、サチェルとカウンセラーは別の部屋に入り、ミアはリビングルームで終わるのを待った。本を読みながら時間を潰しているうち、ミアがそこにいると知っているウディから電話がかかってきた。電話を終え、受話器を置いたミアは、ふと、暖炉の上に目をやった。そこにはティッシュの箱があり、下から何かが覗いている。気になって、手を伸ばし、目に入った途端、ミアは凍りついた。それは6枚のポラロイド写真で、その全部に性器と、女性の顔が写っていたのだ。その顔は、紛れもなくスンニだった。

 震える手でミアは再び受話器を取り、「緊急の用事」と言って、仕事場にいるウディを呼び出した。折り返しウディから電話があると、ミアは、「写真を見たわ。もう近寄らないで」と叫び、一方的に電話を切った。