「近い将来、君との結婚も視野に入れている」
次に自宅に電話をし、まだ冬休みで家にいたスンニが出ると、冷たい声で、「スンニ……」とだけ言った。それを聞いて、スンニはすぐに、ウディとの関係がばれたのだと悟った。ようやくサチェルがカウンセリングを終え、部屋から出てくると、ミアは写真を全部ポケットに入れ、急いでサチェルにコートを着せて、セントラルパークを横切って自分の家に帰った。家で最初にサーシャと顔を合わせると、ミアは「ウディがスンニとやっていたの。すぐアンドレ(編集部注:ミアがウディと付き合う前の1970年〜1979年まで結婚していた音楽家)に電話をして」と言いつけた。次にスンニの部屋に行き、ウディとの関係を問い詰めた。スンニが否定すると、ミアは「これがあるのよ」と写真を突きつけ、スンニを殴った。そして自分の部屋に入り、死ぬほど泣いた。泣いても、泣いても、涙が出てきた。アンドレと話したくて電話をするが、何度かけても出ない。そうしていると、慌ててウディが駆けつけてきた。ミアの部屋に入ってきたウディは、「私はスンニを愛しているんだ。結婚するつもりだ」と言ったかと思うと、「いや、私が愛しているのは君だ。これをきっかけに、愛をより深めよう」と言ったりして、支離滅裂だった。ひたすら弁明する中では、「私はスンニに自信をつけてあげたんだ」「悪かった。自分を抑制すべきだった。もうやめるから」など、矛盾していることを言った。この12年、ミアがずっと聞きたかった、「近い将来、君との結婚も視野に入れている」ということも口にした。
そこへようやくアンドレから折り返し電話がかかってきた。ウディが「お願いだから、アンドレにはこのことを話さないでくれ」と言うのを無視し、ミアは、「ウディがスンニとやっていたの」とアンドレに伝えた。衝撃を受けたアンドレは、すぐそばにウディがいると知ると、「出ていけ!」と叫んだ。それでもウディは出ていかないどころか、堂々と子供たちと一緒に夕食のテーブルについた。サーシャは歳のいったきょうだいには何があったのかすでに伝えていたのだが、ウディはあくまで平気を装い、あまりの気まずさに、子供たちは次々にお皿を持って自分たちの部屋に下がった。残ったのは、まだ小さなディランとサチェルだけだ。しかし、まだ4歳のサチェルも大人の会話に耳を傾けていて、その後しばらくベビーシッターに「パパがスンニとやっている」と言うようになった。