「なぜY中学校はまともにあの事件について、説明をしようとしないのか――保護者としての当然の不満ですらまともに受け止めないのが、今のY中学校の姿です。どうして爽彩さんの事件について、これまで公にせず、黙ってきたのか。あの時、本当は何が起きて、Y中学校はどう対応したのか。それが知りたいのに。先日行われた保護者会でも、校長が『第三者委員会の調査』を理由に、ほぼ無回答を貫きました。これで『生徒の安心・安全』のためと言われても……。そもそも子どもたちの安心・安全を脅かしているのは、学校側の隠蔽体質が原因ではないかと言いたいです」(Y中学校に子どもを通わす保護者)
文春オンラインでは、これまで14本の記事を配信し、今年3月に市内の公園で亡くなっているのが見つかった廣瀬爽彩さんについて、その死の背景に凄惨なイジメがあったことを伝えてきた。
※本記事では廣瀬爽彩さんの母親の許可を得た上で、爽彩さんの実名と写真を掲載しています。この件について、母親は「爽彩が14年間、頑張って生きてきた証を1人でも多くの方に知ってほしい。爽彩は簡単に死を選んだわけではありません。名前と写真を出すことで、爽彩がイジメと懸命に闘った現実を多くの人たちに知ってほしい」との強い意向をお持ちでした。編集部も、爽彩さんが受けた卑劣なイジメの実態を可能な限り事実に忠実なかたちで伝えるべきだと考え、実名と写真の掲載を決断しました。
こうした事件が起きた学校だとわかっていれば、子どもを入学させなかった
そして4月26日にY中学校で行われた臨時保護者会の紛糾の様子も報じた(「ふざけんな」「おぞましい」旭川少女イジメ凍死 ついに「臨時保護者会」開催も怒号飛び交う90分に《教育委員会は「重大事態」認定》)。同記事では、一連の報道を受けて臨時保護者会が開かれたものの、保護者の真摯な質問に対して、ほぼゼロ回答を貫いた学校側の不誠実さについて触れた。その記事に対して、Y中学校の保護者から学校の対応を批判する様々な声が取材班に寄せられた。
「Y中学校に通っていた時にイジメの被害を受けていた爽彩さんの事件について、文春オンラインで報じられて以降、この様な学校に我が子を通わせることに大変な不安を覚えていますし、親として責任も感じています。爽彩さんの事件に関しては今回の報道があるまで何も知りませんでした。こうした事件が起きた学校だとわかっていれば、他の中学校を選択し、子どもを入学させなかった。今では、後悔と不安の毎日を送っています」(冒頭とは別の保護者)
爽彩さんのイジメの問題については、旭川市の教育委員会が第三者委員会を設置して、再調査を実施する方針を定めている。今回、改めてY中学校側の対応に問題がなかったか検証するため、そして何より爽彩さんの事件によって今何が起きているのかを明らかにするために、特定の名称などを除いて保護者会の様子を全文公開することとした。
(全文公開の1回目/全3回)