店というより、むしろ洋館。周辺には何もなく、廃屋のような洋館が堂々と建っていた。1階の窓から見える店内は、とても営業しているようには見えない。
「1階は、前に入っていたレストランが潰れて今は空いてるんです。店は2階で、3階と4階が寮になっています」
営業前の店内に案内される。赤を基調とした30坪はありそうな店内。中央には円形のカウンター、更にBOX席が6席。雰囲気をいうならSMバー? てか、これで女の子3人って絶対足りないでしょ!
「そんなに混むことないから大丈夫ですよ~。女の子少ない時は、お客さんはカウンターに座ってもらってるし、ボーイも接客しますから(笑)」
そんなことを話しているとボーイがやってきた。名前はコミちゃん。歳は27歳と若く、性格の良さそうな好青年。とてもカンボジアのキャバクラでボーイをやるタイプには見えない。
すぐ近くはスラム街、イオンで買い物して合宿みたいな寮生活を開始
コミちゃんに私のクソ重いスーツケースを持ってもらい、寮の部屋に案内された。12畳ほどの部屋には、真ん中にベッド、その前にはデスクが置かれたシンプルな部屋だ。
「ここをまっすぐ行ったところにイオンがあるから、買い物はそこへ行ってください」
部屋に荷物を置いて、言われた通りにイオンへ行ってみた。低い建物ばかりのプノンペンの街で、イオンだけが明らかに浮いている。すぐ近くはスラム街だ。
シャンプーやコンセントの変換プラグなど一通り、買い物をする。プノンペンは雨季。毎日のように雨が降るので虫よけは必須だ。購入したのはコンセントに挿す虫よけプラグ。寝る時にも使えるのでオススメです。
部屋に戻ると、ビールを飲んで爆睡した。よほど疲れていたのか、翌日の夕方、香苗さんからの電話で目が覚めた。
「よく眠れましたか? お弁当来てますよ~」
賄いとして、近所の日本食レストランで毎日お弁当を頼んでいるらしい。この日のメニューはカツ丼。まさかカンボジアでカツ丼が食べられるとは思ってなかった。これは嬉しい。