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「テメェ!!」「なんだ!? コノヤロー!!」 “底辺キャバ嬢”が体験したカンボジアの廃屋キャバクラでの衝撃の日々

『底辺キャバ嬢、アジアでナンバー1になる』より #1

2021/05/24
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 店の女の子とボーイのコミちゃんは、全員この建物の寮に住んでいる。各部屋にシャワーとトイレは付いているが、キッチンは店のキッチンを共用。洗濯機や洗濯物を干す部屋も共用だ。男女がひとつ屋根の下……、合宿みたいでちょっと楽しそうじゃないか。

寮の部屋。部屋ではネットで日本の動画ばかり見て過ごしていた
店と寮共同のキッチン。部屋で飲むビールを冷やすだけの場所

 店の料金は90分30ドル(=USドル、約3000円)でボトル代は別。キャストの日給は35ドル(約3500円)。営業時間は20時~2時までとなっているが、超えると1時間6ドルの残業代も出る。

プノンペンの寮。洗濯機は共同で、使う時に洗濯物が入っていたら、干さなければいけないという謎ルールがあった

 そして初出勤。結論から言うと、エライ目に遭った。

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 テキーラ大好きなオジサンが来て、ひたすらゲームしてはテキーラ一気の繰り返し……。

 この日のキャストは私と香苗さんのふたり。だが、香苗さんが途中で潰れて戦線離脱! 途中、コミちゃんも手伝ってくれたが、テキーラ祭りは朝の4時まで続いた……。

「もう飲めん……」

 重い足取りと頭でベッドに倒れこむ。テキーラのドリンクバックで稼げたから良かったものの、初日からプノンペンの洗礼を受けることとなった。

©iStock.com

クセ者揃いのプノンペン客

 プノンペンの客はクセ者揃いだった。駐在員の客はほとんどなく、個人で仕事している人が多いせいだろうか。

 チャラい白メガネをかけているから、フッくんと名付けた推定55歳のオヤジは、ほぼ毎日飲みに来る常連客。フッくんのお気に入りには、食あたりで休んでいた27歳でギャルのミユちゃん。

 今時、珍しい黒ギャルで天然キャラ。バブル世代のフッくんにドンピシャなのだろう。相当、お気に召していたようだ。

「ミユ~、ヤラせてよ~~」

 5分に1回は、そう言ってミユちゃんの太ももを撫でるフッくん。うわぁ…(ドン引き)。

 まぁ毎日来てくれる常連だし、フッくんは別に悪いヤツではない。

 そんなフッくんの横で、涼しい顔で飲んでいるのはハマ(顔がハマ・オカモトに似ているから)。年齢は30歳。一見、オシャレな駐在員で「自称金持ち」だが、実は超がつくほどのドケチ。フッくんの元部下らしいのだが、ハマが自腹で飲んでいるのを見たことがない。フッくんがいる時にしか来ないヤツ。

フッくん(前列真ん中)の誕生日パーティー。フッくんオキニのミユちゃん(後列真ん中)、後列右は香苗さん

 さらに、フッくんが会計して帰った後も「あと1杯だけ飲ませてよ」とフッくんのボトルを飲み続けるハマ。いや、上司が帰ったなら帰れよ!

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