18歳で夜の世界に飛び込み、歌舞伎町や六本木でキャバ嬢として働いていた女性が、とあるきっかけでアジアを転々としながら現地のキャバクラに潜入することに……。彼女が各国で目の当たりにした光景は一体どんなものだっただろう。
ここでは、自身を“底辺キャバ嬢”と称するライターのカワノアユミ氏の著書『底辺キャバ嬢、アジアでナンバー1になる』(イースト・プレス)の一部を抜粋。カンボジア・プノンペンの廃屋キャバクラで過ごした日々を紹介する。(全2回の1回目/後編を読む)
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辿り着いたのはディープな廃屋キャバクラ
次に見つけた働き先、それがカンボジアのプノンペンである。前回同様、求人サイトから問い合わせると、すぐに店のママからLINEのテレビ電話で面接を受けることとなった。面接は簡単なもので、働く期間や給料の説明をされた。
期間は2週間。理由は以前プノンペンに行った時に、街が狭くあまり遊べそうなイメージがなかったからだ。まぁ、気に入ったら延長しようかな。
空港に到着して30分。待てど暮らせど、送迎に来るはずのチーママは現れない。到着時間は事前に伝えておいたはずだが……。
「すみません、渋滞にハマってしまって……。もう少しお待ちください」
LINEが入ってから更に20分、
「お待たせしてすみません!!」
やっと迎えに来たチーママは、私よりも少し若い人だった。まあ、そんな年まで異国で働こうなんて、きっと似たところもあるだろう。舐めるわけではないが、とりあえず丁寧に話そうと思った。
「チーママの香苗です。よろしくお願いします」
面接をした店の共同経営者のママは、普段は日本にいるという。プノンペンでは、チーママの香苗さんが店を見ているそうだ。
「大変ですね~。女の子は何人いるんですか?」
「アユミさんを入れて3人です。明日、もうひとり来ます」
「結構、少ないですね」
「いつも3~5人くらいですよ。昨日からミユちゃんという子が食あたりを起こしちゃって、昨日は私ひとりで店を開けました」
「じゃあ今日もひとりで? 私、入りましょうか?」
「今日はお客さんも少ないと思うので大丈夫ですよー。明日からお願いします」
ひとりで営業ってどんな店だよ……。すでに漂うディープ感に若干身構えたが、今日はお言葉に甘えて休むことにした。
渋滞に埋もれて1時間。店のあるトンレバサック地区に着くころには、辺りはすっかり暗くなっていた。
「マジかよ……」
店を見て思わずつぶやく。