金曜夕方、衝撃の「村田、自由契約」ニュース……

 甲子園でロペスの勇姿を見たいな。
 
 エルチャモは巨人時代も日本シリーズで楽天の田中将大からホームランを放っている。先週、私用で大阪に行くことがあったので、そのまま数日滞在して週末の甲子園で開催される阪神vsDeNAのクライマックスシリーズ観戦を計画。と思ったら、天気予報がどうも怪しい。自分の文春野球原稿スケジュールは15日朝の締切なので、仮に土曜の第1戦が雨天中止ならジ・エンド。ここは安全策で東京に戻り、屋根付きのメットライフドームの西武vs楽天観戦記にすべきか……。なんて悩みながら、金曜17時前に映画コラムを書き終え、Twitterを覗こうとしたら知り合いのO編集マンから電話が掛かってきた。「見ましたかっ? 村田が!」という第一声とほぼ同時にニュースを確認して、「巨人村田、自由契約」の事実を知ったのだった。

 なんだか、熟年離婚のような終わり方だなと思った。愛や怒りというより、そこにあるのは悲しい大人のリアル。若返りを図りたいチームと、出場機会を求める2000安打まで残り135本の男。人にはそれぞれ事情がある。今季118試合 打率.262 14本 58点。仮に12月で37歳になる推定年俸2億2000万円の三塁手がFA宣言しても現実は厳しかったはずだ。だったら、せめて動きやすいフリーで新天地を探してほしい。巨人側のせめてもの優しさ。だが、6年間で3度の優勝に貢献した功労者をリストラしたことには変わりない。

 各報道によると、村田さんは「ハッキリ言ってくださって、ありがとうございます」とコメントしたという。凄い男だ。クビにされて、こんな立派な台詞を言う自信は俺にはない。最後のすかしっ屁のように、恨みつらみを吐いて喧嘩別れするかもしれない。もしも、切られた本人がマスコミに向けて怒りをぶちまけていたら、当然ファンは荒れていただろう。けど、村田さんの冷静な態度に球団もファンも救われた。チームが変わっても頑張ってくれよ、そう思わせてくれたわけだ。

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自由契約通告を受けた村田修一 ©時事通信社

東京ドームでひとりムラマックス開催

 翌14日土曜日、午前11時。俺は甲子園でもメットライフドームでもなく、東京ドームにいた。勘違いしないで欲しいが、巨人Bクラスを忘れて勝手に11年連続CS出場なんつって体を張ったボケではない。前夜最終2本前の新幹線で帰京して、村田修一グッズを買いにきたのである。これが自分なりのCS、いやムラタ・クライマックスシリーズ、略して「ムラマックス」だ。グッズショップに入ると、いきなり入口側に特設の村田コーナーが設置されていた。とにかく25番Tシャツ、リストバンド、キーホルダー、タオルと立て続けにカゴに入れる。勝手に秋の村田フェス。これぞムラムラ、ムラマックス。なんだこのコラム。

 店内を見渡すと、今季限りで引退する「片岡治大コーナー」や「松本哲也コーナー」もあった。選手グッズを買うという行為そのものが、もはや応援の一種だ。来シーズンもういないなら別の選手がその背番号つけるでしょって、そんなことは分かってるよ。それでも野球ファンは、選手を応援してきた証としてグッズを買うのである。今、仕事場で使うユニホームティッシュカバーは、2008年日本シリーズ観戦帰りに東京ドームのショップで買った上原浩治の19番だ。メジャーリーガーになって久しいが、我が家には巨人の上原がいる。