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【巨人】雨の後楽園、人気のない東京ドームで「惜別のムラマックス開催」

文春野球コラム ペナントレース2017

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デニーズで村田修一との別れの儀式

 真っ昼間、大量の村田グッズが入ったビニール袋を下げて、小雨ぱらつくドーム周辺を歩いた。人も少なく静かだ。思えばこの10年間、ほぼ毎年のようにここでCSの熱戦が繰り広げられていたのである。優勝が当たり前、最低でも3位。なんて贅沢だったのだろうか。2017年、もう東京ドームで巨人戦を見ることはできない。今さらながら、「あぁ今シーズンの巨人は4位だったんだなあ」と実感した。

 しばらくブラつくと、ローソンで村田一面のスポーツ新聞を何紙か買い、駅近くのデニーズへと入る。ムラマックスも終盤だ。スポーツ報知入魂の6年間の村田名場面特集を読みながら、ひとつずつ振り返る。頭を丸めて原監督にいじられ照れ笑い、広島の前田健太からの通算300本塁打達成、阪神戦での涙のサヨナラ安打、どれも懐かしい。特に16年6月25日DeNA戦で通算1000打点を達成したときのコメントが印象深い。

「正直、何度も心が折れそうになったけど、逃げるように辞めたくなかった」

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 まさに1年1年がギリギリの勝負。ここ数年はドラ1スラッガー岡本を育てようという雰囲気や、新助っ人マギー獲得の逆風もあった。それでも、男は黙ってグラウンドで結果を残す。東京ドームで何度も見た背番号25の勇姿。この場所で最後の村田グッズを買い、6年間の功績を振り返る。野球ファン、それぞれのCS。今日という日は自分なりに巨人・村田修一との別れの儀式だった。

 恐らく数年後、この村田タオルを見て、懐かしくあの芸術的ゲッツーを思い出すのだろう。

 See you baseball freak……

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