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2021/05/21

 では、なぜ議会や首長選で勝利を収めてきたのか。それは維新が「大阪という都市の利益」を代表する政党とみなされているからだ。自民党は同じ政党でありながら、大阪府議団と大阪市議団では、まったく別の政党のように振る舞っている。都構想ですら、府議団と市議団で賛否から分かれ、分裂しかけたことすらある。その結果、府と政令市で協調が必要な場面でも、別々の利害に基づく意思決定が繰り返されてきた。

 それを「地方自治」の一つの在り方として許容するのか、「大阪という都市の利益」を損なう政党の行動と見なすか。自民は前者を選択し、維新は後者に重きを置いた。そして有権者は両者を比較した上で「大阪の利益代表」として、府市一体を主張する維新を支持したという構図が見えてくる。

2015年のダブル選挙

都構想が否決されたワケ

 大阪都構想が否決された理由も、有権者の立場にたてばよくわかる。すでに維新によって府市一体となっているにもかかわらず、なぜ都構想が必要なのか。そのメリットを維新側がうまく説明しきれなかったのだ。

 こうした維新の支持層分析から、いまのコロナ対応についての吉村支持の理由も推測することができる。鍵となるのは、「まだマシ」という有権者の選択であり、広域対策が必須である新型コロナの性格だ。

 都市圏としての大阪の人の動き、大阪市内に周辺の市から毎日、大勢が行き来する「人流」を考えれば、新型コロナの対策は大阪市だけで完結するわけではない。市と府が一体になって対応しなければならないことは至極、当然のことだ。府市一体で取り組む姿勢を鮮明にしている維新のほうが、府市バラバラな野党よりもマシである。そう有権者が判断し続ければ、ゆるい支持は一定程度、続くことが予想できる。

 維新や吉村の「失敗」を批判ばかりしていれば、30%の強い不支持層は納得し、SNS上で拡散もするだろう。だが、維新を支えているゆるい支持層、ゆるい不支持増を振り向かせることはできず、政権交代は果たせないまま終わる。問われているのは、吉村だけではない。大阪の野党も同様なのだ。

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出典:「文藝春秋」6月号

 石戸諭氏による「大阪コロナ感染爆発でも…吉村洋文・府知事はなぜ失墜しないのか」は、「文藝春秋」6月号および「文藝春秋digital」に掲載されています。

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