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「一緒に売れる必要はない、友達のまんまでいいんじゃない?」光浦靖子(50)が語る同級生・大久保佳代子の存在

『50歳になりまして』より#1

2021/05/30

source : ライフスタイル出版

genre : エンタメ, 読書, 芸能, アート

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「コンビというものは厄介です」「私はいつも大久保さんと自分を比べてしまいます」。23本のエッセイをまとめた『50歳になりまして』(文藝春秋)の中でそう語るのはオアシズの光浦靖子さん(50)。

 相方・大久保佳代子さんとは小学1年生からの付き合いであり、元々は仲良しで始めたオアシズ。「幼なじみ」と「仕事のパートナー」の間で揺れ動く二人の関係性の中で、「一緒に売れる必要はない、友達のまんまでいいんじゃない?」と気づいたという光浦さん。来年30周年を迎えるオアシズの二人の関係はどのように変わっていったのかーー。光浦さんによる同書から一部抜粋し、『私が作って私がときめく自家発電ブローチ集』(文藝春秋)の作品とともに紹介する。(全2回の1回目/#2を読む)

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「50歳になりまして」―― コンビ

 来年2022年、私たちオアシズがデビュー30周年なんですって。黒沢と電話してて知りました。「靖子さん、来年の30周年はイベントするんですか?」「はい?」

 すっかり忘れていたというか、意識したことなかったです。私たちは1992年の8月の終わりに人力舎のネタ見せに行き、そこをデビューとされています。ネタ見せは誰でも受けられるわけで、それをデビューとしたらいけないんじゃないかなぁ。本人が納得できなくても知らない誰かが作ってるウィキペディアの方が真実になってゆきますからね。一度、仕事でウィキペディアを見ることがあって、その時そこには、元々「オアCズ」というコンビ名で、お笑いに誘ったのがブッチャーブラザーズさんで、大久保さんがOLになった、とありました。全部近い。非常に近いがちょっと違う。

胸元にライオンのブローチをつけた光浦靖子さん 撮影:榎本麻美

 オアCズというコンビ名は、飲み屋で挙がっただけの名前で、一度も使っていません。ただ誰がこれを載せたのか。相当詳しい人です。ブッチャーブラザーズさんは、初めて行ったネタ見せの審査員であり、そのライブの主催者であり、当時人力舎に所属していたお笑いコンビであり、吉本以外の東京のお笑い芸人さん(40代前後)は、みーんなお世話になっています。大久保さんが芸人を辞め一度OLになった、これはよく勘違いされるのですが、大久保さんは芸人?を辞めたことは一度もなく、ずーっと続けていました。オアシズで単独ライブをやったり、営業に行ったり、たまにラジオやテレビに出たりしていました。ただ、世間が知らなかっただけで。初のレギュラー番組「とぶくすり」に私だけが出たので、テレビの人さえも私をピン芸人だと思ったようで、コンビにはあんまり仕事が来なくて(全くのゼロではないんですよ)大久保さんはバイトがメインになっていった、という次第です。生計を立てているものが職業となるならば、OLです。