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「ドラッグがカッコいいなんて言うやつは最悪」薬物中毒に苦しんだカート・コベインが危惧し続けた“自身の影響”とは

『才能のあるヤツはなぜ27歳で死んでしまうのか?』より #1

幾重にも重なった神話を引きはがして

 ああいう映像がなかったら、ぼくらもまたこの神話を喧伝してることになるじゃないか。カートがヘロインとかかわりを持っていたことは、みんなが知ってる。でもぼくらはその実態を見たことがない。彼のイメージを壊そうとしたわけじゃないし、祀りあげようとしたわけでもない。ただまっすぐ彼を見ようとしただけなんだ。幾重にも重なった神話を引きはがして、人間そのものを見せてあげれば、きっとその人が神話で描かれるよりもっと親しみやすくて、生き生きしてるんだってことがわかるんじゃないかな。このフィルムで見せたかったことのひとつは、コートニー(編集部注:カート・コベインの妻)に会う前からカートは問題を抱えてて、それはフランシス(編集部注:カート・コベインとコートニーの間に産まれた娘)が生まれるより前だし、名声とかヘロインとかニルヴァーナよりずっと前だったってことなんだよ。

 さてそろそろ、彼が何を求めていると言ったかを讃える時間だ。ドラッグや鬱を祀りあげることも、それらを背後の人間とイコールで結びつけることも、もうやめよう。ここにはひとつの教訓がある。私のような人間はとっくに学んでおくべきだった教訓だが、いくら遅くても学ばないよりはマシだろう。私は、子供たちに悪影響をあたえるのではないかと気にかけていたコベインを讃えたい。そして以前は彼を誤解していたことを悔やんでいる。コベインの言葉は確実に私の敬意を得た。誰かが個人的な問題を抱えてドツボにはまりこみ、まちがいを犯したからといって、必ずしもその誰かが悪影響をおよぼすとはかぎらないし、悪人であるということにはならない。彼もまた人間。それだけのことだ。

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才能のあるヤツはなぜ27歳で死んでしまうのか? (星海社新書)

ジーン・シモンズ ,森田 義信

星海社

2021年5月27日 発売

「ドラッグがカッコいいなんて言うやつは最悪」薬物中毒に苦しんだカート・コベインが危惧し続けた“自身の影響”とは

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