いずれにしても、どうあがいたところで客も女性側も濃厚接触のリスクは避けられない仕事である。
「メチャクチャに咳をしてたり、明らかに体調が悪そうならさすがにボーイさんが対応してくれるはずですけど、ほとんどないかな。身体に触れて、「体温高っ!」って思うこともあるけど、ほとんどのお客さんはどこかでお酒を飲んできてるので、もうしょうがないですよね」
「リスクはしょうがない、今は続けるしかない」
幸いというか、今のところ店の関係者や、プライベートの知り合いにも感染者は出ていないという。
「身の回りには一人もいなくて。お客さんに聞いてもやっぱりそんな感じです。だから現実味がないというか、テレビの中だけの出来事という感覚です。もちろん怖いは怖いですよ。ソフトサービスと言っても接触は結構あるし、万が一感染したら明日から収入がゼロになっちゃいますからね。それでも普通の仕事よりは稼げるので今は続けるしかない。リスクはしょうがないかなって思ってます」
生活は持ち直したが、よく聞くといくばくかの借金も抱えているそうで、「まだしばらくこの仕事は辞められそうにない」という。
「実は学生時代に借りた奨学金の返済も残ってるんです。去年のお給料が少なかったこともあって、その補填もしなきゃならない。とりあえずはもうちょっと風俗で頑張って、50万円くらい貯金ができたら次に踏み出そうかなと思っています。
でも、たぶん昔のウェディング業界にはもう戻らないかな。前の仕事でパソコン関連のスキルは身に着けることができたので、次は事務系の仕事を探したい。そんなにたくさん貰えなくてもいいです。もう超安定志向になってます」
一連のコロナ禍では、経済的な苦境に陥った事業者に対して国などが給付金を出しているが、性風俗業界はその支援から外されている。優香さんの店も、優香さん個人としても頼れるのは自分だけだ。
「私が貰ったのは1年前に国民全員に配られた特別定額給付金の10万円だけです。前にいた会社では、会社に何かの保障手当みたいなお金が出ていたみたいですけど、それが私たち社員の給料までは下りてくることはなかったです」
ちなみに彼女は昨年11月から彼氏の家で同棲を始めている。「ちょうど会社を辞めるタイミングだったのは偶然」と笑うが、すぐに結婚と考えているわけではないようだ。
「光熱費は彼が払ってくれるので多少は楽になってます。ただ、今の仕事のことは秘密にしています。1月に派遣の仕事を始めたことは話していたので、今も変わってないと思ってるみたい。先のことは分かりませんが、とりあえず国がもう1回給付金を出してくれたら嬉しいな」