進む政党の離合集散をマッピングすると
9月25日に安倍首相が衆議院解散を表明してから、選挙戦の構図は大きく変わってきた。当初は、「自民党・公明党VS野党」という構図で選挙戦が展開されると予想されていたが、希望の党が設立され、民進党の衆議院議員候補の多くが希望の党に合流すると共に、希望の党側に合流を拒否もしくは自ら合流を選択しなかった議員を中心に、10月3日に立憲民主党が設立された。これによって、「自民党・公明党VS希望・維新VSリベラル勢力」という構図で選挙戦が争われることになった。
こうした政党の離合集散を、筆者の独断を含みながらマッピングしたものが図表である。赤い軸は政府の大きさを示しており、それよりも上にある政党が大きな政府志向、下が小さな政府志向の政党である。一方、青い軸はルールに基づく政策を志向するか裁量的な政策を志向するかを示しており、上にあるのは前者を志向する政党であり、下が後者を志向する政党である。
かつての自民党は、公共事業という形で都市から農村への再分配政策を行っており、公共事業という裁量的な政策によって大きな政府を志向してきたと言えるため、図表では右に位置してきた。しかし小泉政権以降の自民党は大きく路線を変えてきており、歳出削減や規制緩和、郵政民営化などによってルールに基づく小さな政府路線に転換し、図の左に立ち位置を変えてきたと言えるだろう。ただし今回の選挙では、消費税増税分の使途を見直して幼児教育や高等教育を無償化することを掲げており、大きな政府志向を強めてきていると言えるだろう。政権与党である公明党は、自民党よりも大きな政府志向だと言えるがおおむね近い立ち位置だと考えられる。
野党については、希望の党の立ち位置は判然としない部分もあるが、議員定数や議員報酬の削減、規制改革などを掲げており、日本維新の会と同様に基本的には小さな政府でルールに基づいた政策を志向していると考えられる。ただし、自民党と同様に両党とも幼児教育の無償化を掲げており、その点では大きな政府志向を強めている。
いままで、民主党・民進党が大きな政府・再分配的政策を支持する有権者の受け皿となってきたが、民進党の立候補予定者が希望の党に合流したことによって、その受け皿がない状態となった。立憲民主党はそれを埋める存在として結党されたと言える。共産党や社民党は、立憲民主党よりもさらに大きな政府志向だと考えられる。