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志村けんも使用した「ニッチもサッチもどうにもブルドッグ!」

「ニッチもサッチもどうにもブルドッグ!」などは、一見というか一聴するとなんのことやらだが、このリズム感とあまりにも唐突な“ブルドッグ”というオチ(?)で忘れようにも忘れられないCMソングとなった(’97年に富士フイルムの「写ルンです」のCMに起用)。それにしても“ニッチもサッチも”と“ブルドッグ”を合体させるセンスこそが“伊藤アキラ節”の真骨頂だろう。

 この歌、発表当時はジャニーズ事務所所属のフォーリーブスが歌っていたが、後年、ザ・ドリフターズの志村けんさんが、『志村けんのだいじょうぶだぁ』(’87年)の「ご存知!! じいさんばあさん」で、当時は名コンビだったマーシーこと田代まさし演じるじいさんと二人でこの歌をデュエット(?)し、新しいギャグに進化させていた。そのためこちらがオリジナルと思われている方も意外に多いのでは?

志村けん ©文藝春秋

忘れようにも忘れられない“クローン小林亜星軍団”のCM

 冒頭でご紹介した「日立の樹」は、小林亜星さんの紹介で伊藤さんが作詞することになったそうだが、その亜星さんがクローン増殖(?)してみんなで踊り合唱するTV-CMが強烈な印象を残す「パッ!とさいでりあ」(’91年)も伊藤さんの作詞だ。新興産業の外壁材「パッとさいでりあ」のCMソングだが、当初は富田伊知郎(現・MoJo)さんが歌っていたが、作曲の亜星さんがCMに出ることになり、自らセルフカバーして、あの伝説の“小林亜星軍団”が誕生したのだった。これも商品名が先か? CMソングの歌詞が先か? というところだが、このダジャレも交えた分かりやすさも伊藤節の魅力のひとつだ。

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小林亜星 ©文藝春秋

その年の流行語にもなった「Oh! モーレツ!」も伊藤さん考案

 昭和42年生まれの筆者には子供ながら鮮烈な印象を残した、「Oh! モーレツ!」(’69年)も伊藤さんの作詞だ。白いヘルメットに白いノースリーブ、白いミニスカ姿のモデル・小川ローザの横を猛スピードで自動車が横切り、風で白いスカートがふわり。慌ててスカートを押さえたローザがひと言、「Oh! モーレツ!」。なんのCMかといえば丸善石油のCMで、つまり“丸善のガソリンを入れれば、こんなこともあるかもよ?”ということなのだが、よほど世間的にも衝撃だったのか「Oh! モーレツ!」はその年の流行語にもなった。このように、伊藤さんの詞は、その状態をズバリひと言、印象的なフレーズで言い表すパターンのものも多い。