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「40代はサボってしまった。でも“定年退職”したくない」漫画家・倉田真由美が語る、50歳目前の心境

「40代はサボってしまった。でも“定年退職”したくない」漫画家・倉田真由美が語る、50歳目前の心境

倉田真由美さんインタビュー #1

2021/06/13

 それでママ友からネタを集めたりして頑張ったんだけど、私自身に育児の悩みがなさすぎて結局、頓挫しました。いくらフィクションでもそこに血が通ってないと難しい。自分の中にないものを漫画にすることはできないと改めて感じました。

『だめんず・うぉ~か~』の頃、一番欲しかったのは「子ども」

――育児にまったく悩みがない、というのもすごいですね。倉田さんは『だめんず・うぉ~か~』連載開始と同時期に1度目の結婚をして長男をもうけ、1年半で離婚。その後、38歳で映画プロデューサーの叶井俊太郎さんと再婚し、長女を出産しています。

倉田 実は『だめんず・うぉ~か~』がはじまって30代の時に一番欲しかったものは、好きな男の子どもでした。仕事は二の次で、子どもを作るための男探しに鼻息を荒くしていたんです。

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 年下の女性によく言うことのひとつなんですけど、「その時一番欲しいものをまず取りに行こうね」って話すんです。2番も3番も全部は難しいから、その時々で本当に欲しいものひとつ、全力で取りに行こうって。

 

 私の場合、20代は漫画で食べられるようになることが一番でした。デビュー後3年間は年収200万円にいかないような状況で、洋服はすべて妹のおさがり。麻雀の打ち子や塾講師のアルバイトをしながら食いつないでいました。

 やっと仕事が軌道に乗ってきた頃に子どもができて、かわいくてしかたなかった。絶対にもうひとり欲しいと思ったから、30代は子どもを作るためなら仕事をないがしろにしてもしょうがないと腹を括ったくらいです。

 当時はシングルマザーでしたけど、再婚より子どもが欲しかった。実は「結婚する」と「子どもを生む」って別々の欲求ですよね。でも周りを見渡してみると、「結婚してからでないと子どもはちょっとね」という人も結構いて。

 そうなると最初の目標は結婚になって、子どもはその次になるから、もしかするとできない可能性もある。だから、今本当に欲しいものが何かをよく考える必要があるのかなって思います。