「先祖返りなどあり得ない」特捜における“鉄の掟”
「若手女性検事の間で期待が寄せられていたのは、2013年7月から14年4月まで女性初の東京地検特捜部副部長を務めた松下裕子氏です。証券取引等監視委員会への出向経験もあり、捜査にも精通しています。ただ、これまでの例では東京地検特捜部長を務め上げると、司法修習同期のトップで地方の検事正に転出するというのが通常です。
森本宏前特捜部長は、日産自動車のカルロス・ゴーン氏の事件や中央政界の捜査などで辣腕を振るって2年10カ月にわたる異例の『長期政権』となったことから、このケースには当てはまりませんでしたが、通常は同期のトップで検事正となるのです。松下氏は2020年1月から山形地検検事正を務めているので、もう特捜部長の目はありません。それに同年7月に就任した現在の新河隆志特捜部長は、司法修習46期で松下氏は45期と先輩に当たります。先祖返りなどあり得ないのです」(同前)
世界の「議員女性比率」で日本は166位
今年3月8日の「国際女性デー」を前に、世界各国の議員たちでつくるIPU(列国議会同盟)が193カ国を対象に議会下院や一院制議会の1月1日時点での女性比率を調査したところ、全体では過去最高の25.5%を記録した。
しかし、日本の衆議院では1割に満たない9.9%と低調で、順位も166位という散々なものだった。「巨悪を眠らせない」という有名なフレーズで、戦後日本の中央政界に睨みを利かせ続けてきた東京地検特捜部。捜査対象となる国会議員に女性が少ないとなると、捜査する側の陣容でも女性検事の需要はどうしても伸び悩んでしまうということなのだろうか。東京特捜に女性部長が就任するのは、果たしていつになるのであろう。