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「出世なんて所詮は運」は本当か? 会社で「屍」評価をされたときに‟してはいけない”決断

2021/06/15
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仕事をどこまで「冷静に醒めた目」で見られるか

 コンサルティングをしていても、クライアントの事業計画があまりに「あまちゃん」で驚くことがある。持つ夢ばかりがでっかくても、そこに到達するための努力や意欲は「半人前」であることが多いからだ。

 ところが悪くしたことに希望だけは無節操に膨らんでしまっているので計画はどんどん華やかに、プレゼンはまるでテーマパークのようにきらびやかなものとなり、打ち上げ花火だけが立派に大空に向かって放たれる。

 今までコンサルティングを行い、また実業を行ってきた私から見ると仕事とはそんなに「きれいごと」で済むようなものではない。私自身、実業の世界で何度も相手にだまされたり、つけ入られたりしてプロジェクトをひっくり返された。自身の見通しが甘く、失敗をしたことも数多くある。夢だけをいたずらに追うことはよほど生活に困らないお金持ちでなければ続くはずのものではない。

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 仕事は、プロジェクトは、ある意味でどこまで「冷静に醒めた目」で見られるかにかかっている。これは仕事に情熱(パッション)を持つなという意味ではない。情熱がなければひとつのプロジェクトのために徹夜で仕事をしたり、相手を凌駕するプレゼンや交渉を行って果実を得ることはできない。

 大切なことは自身が置かれている立場をよく考えて、事業を冷静に見つめることができる醒めた目、言い換えれば心の余裕を持つことだ。

ロードマップを胸に長い道のりを歩み続けること

 計画通り進むプロジェクトなどというものは所詮たいして難しいプロジェクトではない。難易度が高く、得られる果実の大きいプロジェクトほど何度も失敗し、裏切られ一度として最初の計画通りにすすむことはない。

 ロードマップという言葉がある。一つの道の途中でたとえ行く手を阻まれても、あるいは道に迷っても冷静に自身の立ち位置を把握して違うルートを、障害を乗り越えるルートを開拓していくそんな冷静な心を常に持つことだ。

©️iStock.com

 夢や希望は簡単には手にすることはできない。ただ地道な努力の繰り返しの結果にかかっている。それを「夢、夢」とあまり大きな声で叫び続けても、そんなことで実現するようなものは夢とは呼ばない。

 今日思っただけで明日実現などしない、仕事とはずいぶんと時間のかかる根気の必要な作業だ。でも毎日を無駄にせず、努力する人や会社に対して成功はその扉を開けてくれる。描いたロードマップを常に胸に長い道のりを歩み続けることだ。

「出世なんて所詮は運」は本当か? 会社で「屍」評価をされたときに‟してはいけない”決断

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