もしかすると、あざや傷が付くようなプレイをする仕事だったのかもしれませんが、消毒薬を渡してどうにかなる傷でもないし、「大丈夫ですか?」と声をかけられる雰囲気でもない。
家出中の女子中学生がうちの店舗を利用したこともありました。まず両親から「うちの娘が店内にいないか?」と連絡があり、警察が介入しないと利用客のことは教えられないと伝えたら、本当に警察と一緒に来たんです。あとから聞いた話では、その子のスマホをGPSで追跡して居場所が特定できたそうです。
個室をプレイルーム代わりに使う援交女子たち
──警察が介入するような事態になることはよくあるんですか。
内村 けっこうあります。先日もホームレスの方が来店した際に警察が来る騒ぎになりました。うちの店舗はどんな人でも入店していただく方針だし、その方はお金も持っていたので、最初は入店していただこうと思ったんです。ただ、臭いがあまりに強すぎたので、入っていただくと店が使えなくなってしまう可能性があった。
そのためやむなく入店をお断りしたんですが、そうしたら、その方がガクンと受付の前にしゃがみ込み、動かなくなってしまって……。それで警察に連絡し、最終的に5人の警察官に引き取られていきました。
──お話を聞いていると、たしかに一筋縄ではいかない客層です。
内村 夜逃げ途中と思われる訳ありカップルもいました。男性も女性も地方のヤンキーっぽい雰囲気なんですが、なぜかIKEAの大きな袋をひとりにつき4つずつ手に持っていて、明らかに急いで逃げ出してきた感じなんです。ひと晩だけ利用して翌朝出て行ったので、ビジネスホテルより安く泊まれると思って利用したのではないでしょうか。
なかでもコロナ以降にすごく増えているのが、ネカフェの個室をプレイルーム代わりに使う援交女子です。男性客が出会い系サイトで女性を見つけ、ネカフェ内で待ち合わせるケースも多いみたいですね。実際に、女性客がひとりで使っているはずの個室に男性客が入っていくところや、その逆の場面を何度も目撃したことがあります。
──そういう利用の仕方はネカフェとしてOKなんですか。
内村 もちろん規約上は禁止になっていますが、コロナの影響でこれだけ売り上げが落ちている以上、会社としてはそんなお客さんでもありがたいというのが正直なところだと思います。事実上の黙認ですね。
でも、ラブホテルの従業員ではないのに、なぜ僕たちスタッフが使用済みのコンドームを毎日片付けなければいけないのか。気持ち悪いし、本当に迷惑です。そんなことをするためにこの仕事に就いたわけではないんです。
──そもそも、なぜネカフェの従業員になったんですか。
内村 ネカフェなら漫画を好きなだけ読めると思って……。でも、これだけおかしな客が多いと、もう無理ですね。もはや仕事へのやりがいは一切感じません。
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これはあくまでも池袋や歌舞伎町という繁華街のネカフェに限定した証言であり、すべてのネカフェの利用客の態度に問題があると言いたいわけではない。とはいえ、コロナは郊外のネカフェの利用状況にもなんらかの影響を与えているのではないか。