高くなる傾向の「時間換算」
「時間換算」は
上記した通り「技術」と「材料(薬剤)」にかかる時間に対して支払われる料金ことです。
美容界では10分で1000円が定石とされてきました。しかしクーポンサイト内の競争に勝つために「安売り」する美容室が増えたこともあり、対照的に「付加価値」を意識させるブランディングを行い、「時間換算」の料金を高く設定する傾向も強まっています。
例えば、1000円カットは10分でカットが終わる前提の運営をしています。カット以外のメニューはやらない、髪の毛を洗い流さない等、通常の美容室の運営に必要とされる経費を、極限まで削ぎ落とすことで可能にしています。
組み合わせメニューのため、難しい一律料金
美容室の料金が前後するのは、お客様の髪質や求めるヘアスタイルによってメニューを組み合わせると、「技術料」「材料費」「時間換算」が一律でなくなるからです。
お客様の髪質によって、施術にかける時間や使う薬剤の種類、使う薬剤の量が変わってしまうため、レストランのコース料理やアラカルトのように、同じ商品(ヘアスタイル)を同じ値段で提供することが中々できません。
例えば、絵のようなグラデーションカラー(ブルージュ)を完全再現しようとする場合↓
カラーした事がない、まっさらな黒髪(「ヴァージン毛」と呼びます)から始める場合、1回のカラーリングでは形にする事ができません。
黒いキャンバス(髪の毛)の上に何色の絵の具を乗せても、それは黒にしか見えません。その為、キャンバスを明るくする「ブリーチカラー(脱色)」が必須となります。
1回のブリーチカラーをすると髪の毛は金髪(黄色)になるのですが、黄色にブルージュ(青が主体の色)を加えると、くすんだ緑色になってしまいます。つまり1回のブリーチではブルージュの色が再現できず、よりキャンバスを明るくするために2~3回(髪質によって具合も変わります)のブリーチをする必要があります。
数回ブリーチした髪の毛に、色を添付する。ですので、
1回目のブリーチカラー + 2回目のブリーチカラー (+ 3回目のブリーチカラー) + ヘアカラー ( + ロングヘア料金)
の料金が必要になります。
このように美容師は、そのお客様仕様にあれこれ組み合わせてヘアスタイルを作っています。