芸能人の権利問題に詳しい弁護士があげた「問題点」
だが、芸能人の権利問題に詳しい河西邦剛弁護士はこの通知書の問題点を指摘する。
「約7000万円という高額な請求は、全く実態に見合っていない不当なものです。通知書の(1)では『第三者と締結したサイト運営、運営費用』として、2000万円を請求していますが、具体的根拠も示されておりませんし金額として過大すぎます。
(2)の『逸失利益』というのは、『得られるはずのものが得られなかった』『今後入ってくるはずのものが入ってこなかった』金額のことをいいます。例えば、あるタレントが近日中に2000万円のCM契約を結ぶことが決まっていたとする。しかし、その契約が本人のスキャンダルが発覚したことによって、破棄されてしまった。こういうことなら、2000万円の逸失利益を請求することも有り得ますが、自分たちが勝手に計画していたと主張するだけのイベントに対して、2000万円の損失が発生したと主張するのは、あまりに実現可能性が乏しいように感じます。(3)の外注費用については、正直謎です。1800万円の人件費がどのようにして発生したか全くわからない。
事務所としては、A子さんが、事務所を通さずに百貨店で個展を行おうとしたことを根拠に『契約違反』を主張しているのでしょうが、契約を仮に結んでいたとしても、デルタパートナーズが行った行為は『独占禁止法』の規制する『競争者に対する取引妨害』にあたる可能性があります。度が過ぎる場合は、民事の問題をこえて、業務妨害罪で刑事告訴される可能性もあります」
「早く社長から解放され、絵の仕事がしたい」
A子さんに再び話を聞いた。
「事務所を辞めると連絡した1週間後に船上パーティーに参加したことは事実です。でも、それは私のことを心配した友人が元気を出してほしいと誘ってくれたから参加しただけです。適応障害というのは、小泉社長やYさんと会う、あるいは会うかもしれないと思うと、症状が出てくるんです。適応障害になってかなり沈む日もありましたが、何とか日常生活を送れるぐらいにはやっています。
こちらも弁護士に相談して訴訟に備えている。ただ裁判は時間がかかる、それより早く社長から解放され、絵の仕事がしたい」(A子さん)
そう話す間、A子さんは何度もため息をつき、肩を落としていた。
その他の写真はこちらよりぜひご覧ください。