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学校のように見守り成長させてくれた『コード・ブルー』

 じつは新垣は、もともと女優をやりたいと思って芸能界の仕事を始めたわけではなかった。それがなぜ、俳優の仕事を続けてこられたのか? あるインタビューで訊かれた彼女は、《なぜですかね。…分かりません(笑)》と断りつつも、《現場で仲良くなれて楽しいとか、お芝居の掛け合いがうまくいって楽しいとか、そういうことがちょっとずつ積み重なって、世界が広がっていった気がします》と答えていた(※2)。

まだ10代だったころの新垣結衣

 この発言からもうかがえるように、共演者やスタッフに恵まれたというのは大きいのだろう。2008年に始まり、その後2010年、2017年と3期にわたり放送されたドラマ『コード・ブルー~ドクターヘリ緊急救命~』は、共演した山下智久・比嘉愛未・浅利陽介・戸田恵梨香ら同世代の俳優たちと切磋琢磨しながら彼女を成長させた作品の一つである。2018年の劇場版公開時には、この作品について《私にとっては「学校」です。20代のはじめを見守ってもらって、再会して学び直したり。信頼や尊敬は月日が経つにつれて大きくなってるし、再集結するたびにそれを実感できる関係性はなかなかないと思います》と、共演者たちとの絆を強調した(※7)。

コメディエンヌもガングロもこなして、来年は大河にも

 脚本家では、前出の野木亜紀子のほか、古沢良太との出会いも大きい。古沢のやはりシリーズ化されたドラマ『リーガル・ハイ』(2012年・2013年)で彼女は、堺雅人演じる奇人弁護士に振り回されっぱなしの若手弁護士を演じ、見事なコメディエンヌぶりを発揮した。卓球の男女混合ダブルスのペアを描いた映画『ミックス。』でも、《誰が卓球をしている姿を見たいかと考えたときに、真っ先に浮かんだのが新垣さんでした》(※2)という古沢直々の指名で、ヒロインに起用された。その劇中ではガングロメイクに挑戦する彼女も見られる。

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星野源(右)と新垣結衣 ©時事通信社

『ニコラ』でモデルデビューした20年前に始まり、新垣はそのときどきで周囲から魅力を引き出されながら俳優としても花開いた。女性誌などでは、そんな彼女の「愛され力」が注目されるほどだ。そこへ来て、俳優のほか音楽、文筆と幅広い才能を発揮する星野をパートナーに得て、新たに触発されることも少なくないだろう。すでに来年のNHKの大河ドラマ『鎌倉殿の13人』(三谷幸喜作)にも主要キャストの1人、八重(主人公・北条義時の初恋の人にして源頼朝の最初の妻)の役で出演が決まっている。今後の飛躍におおいに期待したい。

※1 「ご報告」(「新垣結衣オフィシャルファンクラブ」公式サイト、2021年5月19日配信)
※2 『日経エンタテインメント!』2017年11月号
※3 『SWITCH』2021年1月号
※4 『テレビブロス』2018年11月号
※5 『ザテレビジョン』2016年12月9日号
※6 『AERA』2020年12月28日・2021年1月4日号
※7 『AERA』2018年7月30日号