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「おまえに追い出された」「妻として内助の功が足らない」 アメリカで教育を受けた“リベラル夫”が2歳の子にとった“態度”

『子どもを連れて、逃げました。』より#2

2021/06/21
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―そこから別居へは、どうつながるのですか?

 クビになって以来、元夫は落ち込んで、ずっと家にこもっていました。ある日、2歳の誕生日が近くなった頃、子どもが元夫におもちゃを持って近寄っていったことがありました。遊んでほしくて、子どもは「パパ」って話しかけた。すると元夫は「ハァ」ってため息をついて、顔をしかめたまま、子どもを相手にしないんです。異様な様子に、途端に子どもがビビってしまって……。

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 それを見て「これはやばい。お父さんの機嫌を一生懸命取ろうとする子どもになっちゃう。子どもの情緒が育たなくなる」と思ったんです。それで私、彼に言いました。「病院でうつ病だと判断されて薬をもらってきたようだけど、これを機にしっかり療養したほうがいいよ。子どもがチョロチョロしていたら、あなたが休まらない。あなたのメンタルの回復のため、一度離れよう」って。すると夫は、「そうだね、ありがとう」と言って、すぐに引っ越していってくれました。

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―別居だけで、離婚はしなかったんですか?

 私は「子どものためによかれと思って」という気持ちもあるけども、「うつ病と診断された彼の心が休まらないから」という理由もあった。まずは別居して修復していこうと思っていたんです。

「おまえに追い出された」と書かれた恨みのメール

―出て行った後は、どうなりましたか?

 別居してから離婚するまでの2年間は、子どもを彼に会わせていました。月1回のペースで。うつであまり無理をさせられないので、毎回3~4時間から、長くても半日ぐらい。ボウリングに行ったり、公園に行ったり、食事に行ったり。子どもが行きたそうな場所を優先して出かけていました。あくまで、子どもに付き合ってあげているという感じですね。

―お子さんと二人きり?

 いえ、私も同席していました。彼は子どもの世話ができない人だから、むしろ私に来てほしかったんです。別居しているから顔を見たくないというわけでもないし、子どもの面会についての連絡は普通に取り合っていました。別居中でも、子どもはお父さんのことを好きでしたよ。たまに会うだけなら、彼の機嫌の悪いところも見ないですし。