「こいつはDV妻なんです」元夫の浮気現場でそう言われたのはシングルマザーの小松めぐみさん。白人の両親のもとに生まれた元夫は、アメリカの教育を受け、表面上はリベラルを自負していたという。しかし根底では「白人の自分は、黄色人種の妻より偉い」と思い込み、家事や育児を小松さんに押し付け、何もしていない小松さんをDV妻呼ばわりした。

  小松さんが語った元夫の数々の言動をノンフィクション作家・西牟田靖氏の『子どもを連れて、逃げました。』から一部抜粋して、紹介する。

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妊娠中にエリート夫の浮気現場に遭遇! 

警察の前で“DV妻”呼ばわりされ……

 小松めぐみさん(40代)

「結婚前、夫は前妻にDVを受けたと言っていたので、『残念な人に当たっちゃったね』と言って慰めていました。ところが、彼は自分の浮気が発覚したとき、私のことを『こいつはDV妻』と言いだし、警察の前で噓をついたのです」

©iStock.com

 歯科医の小松めぐみさんはそう話す。小松さんは妊娠がわかって結婚し、子どもが2歳になる手前で別居。離婚したのは子どもが4歳のときだったという。彼女はいったいなぜ夫から“DV妻”と言われたのか? なぜ2年も別居をしていたのか?

違和感を覚えるも紹介されたバイリンガルとデキ婚

―旦那さんとは、どのようなきっかけで出会ったのですか?

 実はそれまでの7年間、別の男性と一緒に住んでいました。彼とはすごく仲が良かったし、人として尊敬もしていましたが、彼はどうしても子どもを欲しがらなかった。当時、私は30代半ば。「このままいくと、子どもがいない人生になっちゃうな。子どもを産める相手を見つけよう」って思ったとき、信用できる知人から男性を紹介されました。「前の奥さんに恵まれなかったんだけど、中身はすごくいい人だから」って。それが元夫。会ってみたら、子どもを作ることに反対しなかった。それで、早まって結婚してしまったんです。

―どんな人ですか?

 背がスラッとした、絵に描いたようなハンサム。両親は欧米人だけど、彼は日本生まれの日本育ち。両親の都合で中学校から大学院までは英語圏に住んでいたので、バイリンガル。大学と大学院では一人暮らしをしていて、就職のタイミングで日本に戻ってきたらしい。会社では早くから出世していて、そのうちにヘッドハンティングされて、外資系の会社の上層部を転々としていたみたいです。