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“白人の自分は、黄色人種の妻より偉い” 自称リベラル夫が浮気現場で警察を呼んだワケ

『子どもを連れて、逃げました。』より#1

2021/06/21
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―なんだかフワフワしてますね。

 妻は、人形のようなお飾りでいてほしいってこと。外の人たちに自慢できる肩書だったり学歴だったり見た目だったりを、彼は私に求めていた。

―たとえば、どんなことですか?

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 政財界の重鎮が出席するというパーティーに招待されたときのことを思い出します。招待状が届いた途端に、「ドレスを見に行こう」と言って、六本木の高級ブティック街に連れていかれました。「これ似合うよ」と勧められて、何十万、いや何百万円もするドレスを次々と試着させられました。

©iStock.com

―それで買ったんですか?

 それが、彼は払ってくれないんですよ。戸惑って「買ってくれないの?」って聞いたら、やれやれとあきれた様子。「そうやって女たちは、みんな俺のお金をあてにするんだ」と、いきなり悲劇のヒーロー気取りです。「わかった。じゃあ買わなくていい」って言ったら「安っぽいドレスじゃおかしいよ。みんなすごいドレスで来るんだから」と必死になって引き留めて私に買わせようとする。結局、買わずに、成人式のときの振袖でパーティーに行きましたけどね。

―家計は、どうしていたんですか?

 家賃は全部彼が払っていましたけど、それ以外はうやむやでしたね。私自身、稼ぎがあったし、出産休暇に入っても貯蓄がありましたから、彼の収入を頼りにする必要がなかった。彼はその点、甘えてましたね。ドケチなので。

妊娠中に浮気現場に遭遇、彼は警察を呼び……

―妊娠中は、どうだったのですか?

 妊娠8カ月の頃、一悶着ありました。その頃、私は土日に、車で30分のところにある実家へ帰っていましたが、実家から戻ってくると誰か知らない人が家に入ってる気配があって、「これは絶対、女を連れ込んでるな」と踏んだんです。それで私、その次の週末、実家に帰ったと見せかけて、前触れもなく自宅に戻り、解錠して中に入ってみました。すると案の定、家の中に知らない女がいるじゃないですか。「これ、どういうこと!?」と私は言いました。もしかすると、ドスの利いた声だったかもしれません。