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「連れ子だけが暴力対象に」加害父が“虐待致死”で再逮捕 子育てのストレスで《九州3児遺体発見》

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 大翔くんが通っていた小学校関係者に取材をすると、田中容疑者について知る人は多いが、元妻A子さんについて知る人はほとんどいなかった。同級生の親御さんたちの目撃談は、転校直後の登下校の付添いや学校のイベントなどでみかけるのは田中容疑者にまつわるものばかりだ。

「父子家庭だと思っていた」

「お父さんしか見かけたことがなかったので、当初は父子家庭だと思っていました。でも後にとても恰幅の良いお母さんが1度送り迎えをしているのを見かけたことがあります。そこで初めてお母さんがいたんだと知りました」(別の同級生の母親)

 2020年5月、田中容疑者は実子の蓮翔ちゃんと姫奈ちゃんだけを連れ、3人だけで飯塚市の県営住宅へ引っ越す。田中容疑者の自宅近くに住む高齢男性は「田中さんは元奥さんから逃げるためにこの団地に引っ越してきた」と語っている(九州3児遺体#2)。しかし、その後ほどなくして、元妻のAさんが大翔くんを連れて、田中容疑者の元へ引っ越してきた。

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田中容疑者らが住んでいた県営団地 ©文藝春秋

“血の海騒動”でも父親へ信頼を寄せていた大翔くん

 前出の高齢男性によると、「子供たちは3人とも田中さんに懐いていましたよ。田中さんが車で帰ってきたとき、子供たち3人が喜んで車の方に走っていくのを見たことがあります」と語る。

「2020年12月に元奥さんが包丁を持ち出して、部屋に血の海ができるような壮絶な夫婦喧嘩をしたことがあったのですが、そのときも子供たちはお母さんよりお父さんを信頼しているようにみえました。

 喧嘩を仲裁するために駆けつけた警察官が、大翔くんと蓮翔ちゃんに『お父さんとお母さんが別れたらどっちについていきたい?』と聞いたんですよ。すると2人は声を揃えて『お父さん』とはっきり答えていた。大翔くんも血の繋がりのないお父さんがいいんだと迷わず言っていましたよ。私にはお父さんに懐いているようにみえましたけどねぇ。

 この(夫婦喧嘩)騒動の後、12月末にやっと離婚をしました。A子さんは子供たち3人を置いて、1人で家を出ました」

田中容疑者が殺害した蓮翔ちゃんと姫奈ちゃん(「FNNプライムオンライン」5月6日配信より)

 大手紙社会部記者によると、「離婚後は、血のつながっていない大翔くんも田中容疑者の養子となり、事件当時は父親と子供3人で生活していた」。こうして、父子4人での生活がスタートした。

 しかし、ほどなくして親子関係に歪みが生じる。