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理想の夫婦は“上手に交渉ができる”

「理想の夫婦像は“上手に交渉ができる夫婦”だと考えています。一方が支配して意見を通すのではなく、激しいケンカでお互いの意見を押し付け合うのでもなく、双方の話に耳を傾け、ふたりが納得する答えを導ける関係がベストですよね」

 両親が穏やかに話し合いをする姿を見て育った子どもは、自分が家庭を持つときにも同じように関係を築いていくという。まさに、子は親の写し鏡なのだ。

 そして栗原さんは、加害者と被害者が存在するDVは個人の問題ではなく“社会問題”と捉えてほしい、と強く訴える。

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「相談者から『義務教育でこのプログラムを学べば、ステップに来る必要はなかった』と言われることがあります。彼の言う通り、夫婦の関係を実践的に学ぶ場があればDVは社会から減っていくはずです。今回の熊田さんの騒動や、痛ましい虐待事件が起きるとDV問題に注目が集まりますが、ニュースが落ち着くと社会の関心は薄れます。でも実際にはDV被害は日本中で発生している。せめて、“DVは当事者同士では解決できないこと”をより多くの人に知ってほしいですね。

 DVは社会の歪んだ価値観(力と支配・暴力容認意識・ジェンダーバイアス)から生み出されています。DV加害者は両親や社会からの被害者でもある。社会全体の価値観を変えていく必要があると思います」

 さまざまな要因が複雑に絡み合うDV問題。彼らの声なき叫びに耳を傾ける必要がありそうだ。