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舞台演出の素人だから、プロの舞台とは別のものにしなきゃ

──俳優さんたちも「舞台を知らないからこその発想が新鮮で楽しい!」とみなさん前のめり、品川さんに全幅の信頼をおいています。実際稽古を拝見し、演出席にはほとんど座らず様々な位置に立ってミザンス(役者の立ち位置や動きなどの全体の配置)を細かく確認したり、自らもセリフを発して言葉を粒立てる大事さを丁寧に共有したり。演出家として“場”をグイグイ動かされているんだな、と感じました。

品川 舞台は出たこともないんで他の演出家さんがどうやっているか、ホントに知らないんですよね。だから全部自分の感覚。ユニットコントとか映像演出をやるときと同じようにやってます。むしろ僕は舞台演出の素人なんだから、プロの人が作った舞台とは別のものにしなきゃいけない、とも思うし。そこの良さ、お客さんに何か刺さるものがあるとしたらやっぱり役者の熱量とか、気持ちとか、お客さんに向けて「これで人生変えてやろう」「観て損はさせねえぞ」っていう情熱とプロ根性なんじゃないかな。そこは毎日毎日みんなにけしかけるように投げかけ、煽ってますよ。

 

猪野くん自身がマコトに似てる

──主役のマコトを演じるのは猪野広樹さん。2.5次元舞台を中心に活躍されている“実力派”です。

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品川 猪野くんは……本人いたほうが言いやすいですけど、面倒くさいです、いい意味で(笑)。で、やっぱ猪野くんが稽古場を盛り上げてますよね。それは僕みたいに世間話に例えて「ここはこうやって見せたら?」とか「もっとこういう気持ちでやって」という伝え方ではなく、すごいカッコつけた言い方すると“背中で見せてる”。毎回どのシーンも最初から全部“本意気”でやるし、誰よりも早くセリフ入ってるし。真ん中でそれをやられちゃうとやっぱり周りは「やばい」「俺も感情を込めないと」ってなる。焦る。競う。そこの、いい意味の負けん気の強さがプロ意識の高さでもあるんですけど、それってすごく劇中のマコトっぽくて……猪野くん自身がマコトに似てるんですよ。付き合えば付き合うほどさらにそう感じてる。「マコトはもう猪野くんのこのままでいいじゃん」って。信頼してますよ。