それが泡風呂の機械を売るネットワークビジネスで、当時はテレビCMもされていたくらいメジャーだったんです。人に売るだけで紹介料がもらえて、月収100万円を超える人もいると聞いて、なんていい仕事なんだろうと思いました。「めっちゃやりたい」と言ったんですが、「西尾ちゃんは未成年やから始められへん。そのかわりにこれ読んどき」と薦められたのが『マーフィー 100の成功法則』『人を動かす』『アメリカの心』の3冊でした。
──まっさらな19歳の少女にすごい本勧めてきますね(笑)。
西尾 ですよね(笑)。私も今ならそう思いますけど、当時はその3冊を熟読して、「自分ならできる」と超ポジティブ脳になってしまったんです。
何百万円もの初期投資が必要だったらさすがに私もやろうとは思いませんが、「自分が使う商品をひとつ買うだけでビジネスが始められる」と聞いたら、できるような気がしませんか? 実際、Fさんのアップ(系列の上位にいる先輩会員)の人は7桁を超える収入があって、すごい豪華なマンションに住んでいましたし、そのうえプロのミュージシャンとしても活躍していたと聞いてますます興味を持ち、20歳になるとすぐ入会しました。
20歳で月収150万円超、でも魅力は収入よりも…
──入会されたあと、驚異の売上げを達成してあっという間に高ランク保持者になれたのは、Fさんの推薦図書のおかげですか。
西尾 違います(笑)。運がいいといっていいのか、そこがダメだったというべきか、やり始めて数か月後に、作中にも出てくる「竹やん」(竹田昌治)みたいなスター的な人が私のダウン(自分から始まる系列)に入り、グループが一気に拡大したからです。
彼も、Fさんと同じく、ほかのネットワークビジネスをやっていた人で、かなりの人脈を持っていました。彼のおかげで1年半くらいで800人くらいにグループが広がり、売上げが伸びたんです。おかげで彼のアップだった私が最年少で高ランク保持者になり、あの当時、20歳で月収150万円を超えたこともありました。
──憧れの月収7桁を20歳で! 生活が派手になったり、金銭感覚がマヒしたりしませんでしたか。
西尾 「月収150万円」といってもそれがずっと続くわけではなくて、「そういう時期が何か月かあった」というだけなんです。それに、セミナーや講習会で寝る時間もないくらい忙しいので、派手に使う暇もないんですよ。でも実家を出て1人暮らしを始めて、家に10万円仕送りしていました。社会人になってから毎月3万円家に入れていたので、一気に金額が上がって母には喜ばれました。