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「ウェディングドレスさえ着れば幸せになると…」デビュー作『さびしすぎてレズ風俗に行きましたレポ』から5年で見えてきたもの

漫画家・永田カビさんのインタビュー

2021/07/03

「愛」を求めてマッチングアプリへ

 そんな永田さんがにわかに「愛」を求めだして以降、《心と体が力を合わせて、さびしい もう無理》と悲鳴を上げ始めた。その声にしたがって2015年、はじめてレズ風俗に行った。最近では、マッチングアプリで結婚を決めた友人の話を聞き、婚活アプリにもすぐさまチャレンジした。

「ただ、レズ風俗は漫画に描いて以降は行ってません。お金を払った対価として抱きしめてもらったり性的なことしてもらっても、自分の望むような関係には辿り着けないと思ったんです。もちろんそれが必要な方はいると思うので、レズ風俗を否定するわけじゃありません。私にとっては違った、ということだと思います。

©永田カビ/双葉社
©永田カビ/双葉社

 マッチングアプリは写真と自己紹介文はあれど、本当にはどんな人か分からない人といきなり会ってしまう、その飛躍する感じが恐ろしくて……。相手のプロフィールすらまともに見られずにやめてしまいました」

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もやもやを可視化していく永田さんの漫画

 永田さんは自分の日常を描くエッセイ漫画を主戦場にしているが、ネタ集めのために行動するというより、解決し難い自己の問題に立ち向かった結果が漫画になるという。

《何故 人が人と付き合えたり 結婚できるのかわからない》
《「友達のことが大好き」と「恋愛」の違いって何なのか?》
《他人がクリアしていて私がクリアできていない「謎のハードル」が有る》

 愛にまつわるさまざまな考察が高い言語化能力と画によって表現され、「レズ風俗」などのキャッチがいい意味で裏切られる。もやもやが可視化されていく喜びは「私だけじゃなかったんだ!」という「生きづらさ」への答えにもなっているようで、国内のみならず、アメリカやドイツ、中国など、世界各国から共感の声が届くという。

©永田カビ/双葉社
©永田カビ/双葉社

「高校みたいにうまくいかない、楽に生きられない」

 そもそも永田さんが最初に生きづらさを感じたのは高校卒業後のこと。油絵を学んでいたが、大学生活が肌に合わず半年で退学し、バイトを転々とした。