“愛”や“結婚”で虚しさは埋まるのか
ただ酒に逃げたとしても、過度に自分を責めない。「自分そのまま」を認められるようになったことで、心は安定した。かつては実際に体が震えてしまうほどさみしくて仕方なかったが、今は他者に「愛」を求めることも減ったという。
「よくわからない虚しさでお酒を飲んだり過食嘔吐してしまうこともありますが、かといってその虚しさを埋めてくれるのが“愛”や“結婚”かどうかなんてわからない。だったら私が私自身をもうちょっと大切にしてあげればそれで幸せなんじゃないかって、ゆるく考えています」
目下の悩みは、最新刊で母親を悲しませてしまったこと。包み隠さず自らの体験を描いてきたが、かつて家族は娘の「レズ風俗」行きにショックを受けたため、永田さんは常に母や父の反応を気にしている。
「To be continued」な人生
「1冊目で親を悪く描いて悲しませてしまったんですけど、今回の本でも母親の記憶と自分の描いたことに乖離があったみたいで、また母を落ち込ませてしまったんです……。
そんなこともあってエッセイを描き続けることに迷いが生じて、最近も2ヶ月くらいお休みしていました。これからは原稿に入る前にネームを母に確認してもらうことになったのですが、かといって親にいい顔したものだけを描かないようにするためにはどうすればいいか、そのへんの力加減が課題です。
迷いながらも仕事を再開したのは、とにかく働いていないと不安だから。不安からの解放という負の感情からの再開なので、全然ポジティブなきっかけではないんです」
なんとなくいい話でまとめたくなるが、永田さんのエッセイは常に「To be continued」といったかたちで終わる。それは彼女の人生そのもの、今時点を描いているのだから当然かもしれない。
物事を無理に解決させなくてもいいし、同じ悩みで何度も揺れていい。永田さんが包み隠さず見せてくれる懊悩が、ありのままでいることを肯定してくれているような気がする。
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