下半身を何回も触ってきていた
この問題が市議会で取り上げられたのは、園児の母親として、市の対応に納得いかなかったためだ。母親によると、被害にあったのは長女と次女。ともに、心理的なショックを受け、治療を受けている。長女(当時5歳)は保育施設に通っているときに、1学年上の男児(当時6歳)から性被害にあった。当初は「お尻を触られた」と話していたため、“スカートめくりの延長”と思っていた。母親は施設に連絡。園側は「注意しておきました」と話したという。
ところが、深刻さを実感するのは数年後。長女はパニック状態になった。母親が長女に話を聞くと、実は、被害は「お尻を触られた」よりも深刻で下半身を何回も触ってきていたという。しかも教室から廊下に呼び出されたという状況も話してくれた。そして、母親に話した当時は、我慢の限界で話をしたというのだ。
「小学校の担任とスクールカウンセラーに相談し、長女が親しみを感じていた養護教諭に対応してもらいました。話を聞いてもらい、『あなたは悪くない』などと言ってくれたために、このときパニックは治まりました」
ただし、男性恐怖症となり、成人男性との接触があると、再び思い出すことがあったりする。
「施設に確認すると、加害をした男の子と小学校は同じではないようですが、中学校は同じになる可能性があります。確認をしようと思っていたんですが……」
現在は長女、次女とも児童精神科に
長女のことで施設側に問い合わせをしようとしていた矢先に、次女(当時4歳)も性被害にあってしまう。母親に話したのは、当初は「先生に叱られた」というもの。理由を聞くと、「お尻を触られて、相手の男の子を押したら、先生に怒られた」というのだ。長女のこともあったため、詳しい話を聞くと、下着の中に手を入れられたというのだ。加害児は、学年1つ上で複数の男児(当時5歳)。何回もされていたという。この施設側に連絡した。
「園が責任を認めて、適切な対応をしてくれると思っていましたが、『(加害男児と)一緒にいるのを見たことがない』と言われてしまいました」
母親は適切な対応を求め、市役所に問い合わせた。しかし、施設が私立であり、直接の介入ができない旨を聞く。
「県の担当課である私学振興室にも問い合わせましたが、『性被害問題は起きていないと考えています』との回答が園側からあったとの報告があるのみです。警察や児童相談所にも問い合わせましたが、対応するという話にはなりませんでした」
現在は長女、次女ともに児童精神科を受診している。そこで長女は心的外傷後ストレス障害(PTSD)、次女は急性ストレス障害(ASD)とそれぞれ診断され、治療を受けている。
「次女の性被害のことを伝えると、緊急対応をしてくれました。長女のことも話をすると、2人とも治療を受けることになりました」
結局、次女は保育施設を退園した。