保育施設なので「いじめ防止対策推進法」対象外
「のちに施設側の弁護士から連絡がありました。職員による聞き取りの結果、『事実について否定ないし異なる趣旨の回答』があったとのことでした。しかし、一度も、次女からのヒアリングをしていません」
ちなみに、子ども同士の問題であるため、「いじめ」に該当する可能性があるが、「いじめ防止対策推進法」は、「学校」に在籍する児童等が対象であり、保育施設は対象外だ。もし、「学校」であれば、「いじめによる重大事態」と判断され、調査委員会が設置されることになる。しかし、この件は保育施設で起きたため、そうした仕組みがない。
母親は適切な対応を求めて、久永議員に相談をした。次女も同席した。結果、6月定例会の一般質問で取り上げることになった。その際、母親の思いを記した文章を議員に託した。
「私も、削除を求めた議員も、子どものためを思ってのことです。悪意はないと思います。私の場合は、子ども同士のことだからと軽視されるのではないかと、あえて発言したのです。全文削除ではなく、部分的な発言取消しをしてでも、母親の思いを伝えることが、子どものためだと思いました。
今後は、当事者家族の思いを聞きながら、できることを探したい。被害児童が別の保育施設に入所できるかどうかも模索しています。本筋は、被害があったのかなかったのか。苦しんでいる家族のケアをどうするかも考えたい。子どもの性被害の対応については、法律の抜け穴として今回気がつきました。子どもの思いを汲み取って、対応していきたい。この問題は、市だけの問題ではないです。国会議員とも連携していきたい」(久永議員)
「今も、何も注意されないまま、加害男児は通っています」
議事録が「全削除」ではなく一部修正になったことについて、母親はこう話した。
「全削除にならなかったからよかった、とはなりません。一市民が議員に繋がり、相談を聞いてもらい、質問をするまでの3ヶ月間も大変でした。『性被害』の3文字だけでなく、起きている実態や具体的な内容を残さないと意味がないんです。少しでも、1文字でも残そうとしてくれた議員には感謝したい。
ただ、今も、何も注意されないまま、加害男児は通っています。もしかすると、被害者が増えるかもしれません。行政が、今回の問題の解明、解決へ向けて動いてくれるのかどうか。今も私たちは変わらず苦しみ続けています。できる対策があるとすれば、今からでもしてほしい気持ちがあります。行政の対応に期待したいです」
性被害の実態調査についてどこまで市が関与できるのか。被害女児や家族のケアのために何ができるのか。加害男児とその保護者への対応も含めて、市の動向が注視される。