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下着の中に手を…愛知県の保育施設で起きた女児への性被害、野田聖子大臣はどう答弁したか

「幼児間性暴力をなくすために、こども家庭庁は動くのか?」

2022/05/20

 愛知県大府市の私立保育施設で起きた性被害を訴える女児の問題が、4月27日の衆議院内閣委員会で取り上げられた。こども政策担当の野田聖子内閣府特命担当大臣は「子どもに対する性犯罪、性暴力がなくなるように取り組んでいきたい」と述べた。その上で、野田大臣は「なかなか答えが見出せない」などと迷っている様子がうかがえる答弁もした。

 質問したのは、日本共産党の本村伸子議員。「こども家庭庁設置法案」等に関連して、「幼児間、児童間性暴力をなくすために(こども家庭庁は)動くのか?」と質問した。取り上げられた幼児間性暴力の問題は、「下着の中に手を…愛知県大府市・保育施設での女児への性被害は、なぜ市議会の議事録から削除されたのか」でも記事化している。

少子化対策やこども政策などを担当する野田内閣府特命担当大臣 ©文藝春秋

被害にあった姉は下半身を何度も触られ、妹も下着の中に手を入れられた

 当時5歳だった女児は、保育施設に通っているときに、1学年上の男児(当時6歳)から下半身を何回も触られた。その妹も下着の中に手を入れられるなどの被害にあい、結局は退園をしたという。姉妹の保護者は、自治体に相談したが、県や市でたらい回しにあっている。

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 本村議員は「この問題は誰が責任を持つべきか?」と質した。政府側の見解として、内閣府子ども・子育て本部統括官はこう述べた。

「愛知県や大府市を通じて把握している。幼児間のこういう問題は早期発見、早期対応に努めることが重要。事案が発生した場合、被害園児に寄り添い、心のケアを第一に対応することが大切と考えている。

 私立幼稚園や認定こども園への対応については、一義的に園で関係者からの聞き取り、被害幼児へのケア、加害幼児への指導をするとともに、市町村や都道府県と連携して対応していくことが望まれる。内閣府も文科省などと連携をしながら、自治体の求めに応じて助言を行っている」

 つまり、現行制度では国は積極的な介入はできない、との答えだった。

被害にあった次女は、保育施設の退園を余儀なくされたという(ご家族提供)

政治家としての立場と親としての苦悩「息子が性加害者になってしまったら…」

 そもそも、幼児間性暴力について、政府は把握しているのか。政府側は「認定こども園、幼稚園、保育所における幼児間の性暴力の事案の件数としては国として網羅的に把握していない」と述べた。しかし、一方では「関係府省会議で令和2年6月に決定された『性犯罪・性暴力対策の強化の方針』にあるように、子どもたちが加害者にも被害者にもならないように、発達段階に応じわかりやすく指導することが重要」と答えた。本村議員は「実態をつかむ努力をすべき」と質したが、政府は「就学前の実態を網羅的に把握するのは難しい」とした。