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 野田大臣は、自身が母親である立場から、苦悩する答弁もした。

「母親として子どもを育てている。年齢は11歳ですが、知的には3歳、4歳。この該当年齢になる。私たちは子どもの性被害について一生懸命取り組んでいる。わいせつ教員対策やDBS(前歴開示及び前歴者就業制限機構)など、大人からの被害は絶対に止めようとやっている。しかし、息子が友達の加害者になると思ったときに、いったい、何ができるんだろう。自分に問いかけたときに、なかなか正直、答えが見出せない」

 親として、もし自分の子どもが加害者になった場合はどうするのか――。たしかに、誰かの立場に立って想像することは一定程度は必要だろう。しかし、その感情を超えて、政治家として、国として判断する必要もある。その点については、こう述べた。

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「やるべきことは、被害を受けた子どもたちをしっかり守ること、心の傷を全力で癒すような環境を整備すること。加害者になった子は、本当にそれが悪いことだったかどうかわからない世代だ。

急性ストレス障害(ASD)と診断を受けた次女(ご家族提供)

 いたずらに追い詰めることなく、非常に難しいが、その子の成長に応じて、友達が嫌がることをしてはいけない、ということを上手に諭せる指導者を常に園や地域社会は持つべき。幼児間の性被害は、被害者にとっては深刻だけど、逆に加害者を追い詰めて、子どもたちが萎縮することも望まれない。被害者をきちんと守れる体制を検討させていただきたい」

小学校未満の幼児間性暴力を防ぐ法的根拠がない

 小学校の児童間性暴力であれば、「いじめ防止対策推進法」の「いじめ」に該当し、重大事態となる可能性がある。しかし、同法は小学校から高校までが対象で、認定こども園、幼稚園、保育所は対象外だ。本村議員は「愛知県も法的根拠がないから難しいと。幼児間の性暴力も第三者による調査が必要ではないか。制度として作っていただきたい」と問いただした。

 政府側はこう答えた。

「いじめ防止対策推進法は、子どもの発達段階にかんがみて定められた。園児は含まれていないが、文科省のいじめ防止基本方針では、発達段階に応じて留意すべき点が明記されている。『幼児期の教育においても、発達段階に応じて幼児が他の幼児と関わる中で相手を尊重する気持ちを持って行動できるよう、取り組みを促す』などと書かれている。未然防止が重要だが、万一、発生してしまった場合、被害園児や保護者に寄り添い、心のケアをしていく。内閣府としては、関係省庁と連携・連絡をしながら考え方の周知をしていく。自治体からの相談があった場合は、きちんと対応をしていきたい」