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 野田大臣は「いじめの法律は議員提案ですから、改正するならしっかりと協力していきたい。幼児間の性被害が想定されていないが、方針に盛り込まれている。隙間事案になっているが、こども家庭庁がしっかりと埋めていく」と述べた。しかし、幼児間の性暴力での、第三者による調査委員会の設置については明言しなかった。

「こども家庭庁」は幼児間の性暴力に対して何ができるのか

 被害女児の母親の苦悩は、報道の後も続いている。被害にあった長女も次女も、児童精神科に通っているという。

「今後の法整備も必要ですが、我が家の問題、性暴力被害に苦しんでいるうちの娘をなんとかしてほしいと伝えました。しかし、文科省の担当者は、加害男児の発達過程で起きたことだからしかたがない、というニュアンスでした」(母親)

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次女が加害男児と一緒だった通園バス(ご家族提供)

 今年になっても、保護者は愛知県の私学振興室や大府市に対して交渉中だ。大府市に対しては、保育施設への対応記録や、愛知県への情報提供・調整記録、他課等との調整記録について、個人情報開示請求をした。しかし、不開示となり、異議申し立てをするが、棄却となった。

「結局、保育施設は、加害園児がどこの小学校へ入学するかなどの情報を出さないまま、長女は卒園になり、小学校へ通いました。最大限の配慮を求めて、担任や教務主任、スクールカウンセラーに事情を説明しました。

 どうやら保育施設側は市に対して、長女の被害内容を『スカートめくり程度の認識』と矮小化して伝えているようで、許せません。次女の場合、嘘つき扱いされ、退園に追い込まれました。その後、受け入れ施設も見つかりませんでした。子どもの権利がすべてない生活をしています。悪質な保育施設の認定について検証しない、取り消さない。いったい、誰のための保育施設なのでしょうか」

 法的な強制力がないのであれば、法整備をしなければならないだろう。「こども家庭庁」は、幼児間性暴力にどんな関与ができるのか。野田大臣が言う「隙間事案」に対して、どのような解決提案ができるのか。被害女児の母親は、野田大臣の答弁を踏まえ、愛知県私学振興室へ申し入れをした。