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「バイキンやと思われてるな」インドから帰国した家族4人を待っていた“隔離10日”の地獄 26平米に4人で…《現場写真》

「バイキンやと思われてるな」インドから帰国した家族4人を待っていた“隔離10日”の地獄 26平米に4人で…《現場写真》

2021/06/29
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4歳児をまちがいなく不健康にさせる広さ

 北村さん一家が割り当てられたのは、26平米のツインルーム。2つのベッドの間にエクストラベッドが置かれていた。

3つのベッドをつなげ、親子4人で川の字になって眠った

「部屋に入って最初に思ったのは、2、3日なら大丈夫だろうけど、ということ」と北村さん。ここでこれから部屋から一歩も出ることのない10日間が始まるのだ。

 スーツケース3個をクローゼットに仕舞い込めたが、あと3個ははみ出した。すぐに必要な着替えやおもちゃなどを取り出す。下の子がハイハイをできるように、床にジョイントマットを敷いていると、上の子がベッドをトランポリンにしてさっそく飛び跳ねはじめた。

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「足の踏み場は……ギリギリあるけど、健康な4歳児をまちがいなく不健康にさせる広さや」とユカさん。不健康……。う~ん、大人もだ。筋トレをするスペースもないなと北村さんは肩を落とした。

弁当は「思ってたよりおいしい」

 その日の夕食弁当のおかずは、カレー風味の麻婆豆腐とクミンが効いた魚のフリッター。具なしのインスタント味噌汁がついていた。子どもサイズのお弁当は用意されないので、2つ注文するにとどめ、上の子にはその中から分けることにした。

エスニック風味のお弁当は「思ってたよりおいしかった」

「思ってたより、おいしいやん」

「う~ん、冷たいのが残念やけど」

 と、小さな丸テーブルを食卓にして食べる。椅子は2脚あったが、スペース確保のため1脚をホテルに戻し、上の子と大人1人がベッドの端を椅子代わりにする。

「狭いながらも楽しい我が家って感じかねぇ」と北村さんがおどけると、ユカさんは「うううん、まあね」と小さく笑った。

 疲れ切っていた北村さんは、その日、上の子と一緒に午後9時頃にベッドに入ったが、そのときユカさんは授乳中だった。下の子を寝かしつけてから、副食品やお菓子、果物、おもちゃ、ベビーフード、洗濯ロープ、洗剤などの差し入れを母親に頼んだ。北村さんのために「ビールがダメなら、ノンアルコールビールを入れとこうか」と言う母に、ユカさんが「中途半端。ノンアルを飲むと、却って本物のビールが飲みたくなるやろし」と断ったと翌朝聞いた。

 北村さんは、明日から仕事も授乳もおむつ替えも子どもの遊びも一緒くたにこの部屋でするんだな、と思っているうちに眠りに落ちたという。

その他の写真はこちらよりぜひご覧ください。

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