文春オンライン

《東京五輪野球・侍ジャパン内定》外してあげるべきだった“2人の選手”とその理由

2021/06/26
note

外してあげるべきだった2選手とは…

 そう考えていくと、今回のメンバーにはあえて「代表から外してあげるべきだった選手」が2人いる。先発投手陣のエース格である菅野智之(31・巨人)、大野雄大(32・中日)だ。

 2人の2021年シーズンの成績は以下だ。

菅野智之 8試合 2勝4敗 防御率2.72 
大野雄大 11試合 3勝5敗 防御率3.36

 防御率は悪くないが、ともに負けが先行しておりエースとしての期待には応えられていない。加えて、どちらもコンディションが万全でないのが気がかりだ。

ADVERTISEMENT

 菅野は開幕直後に登録抹消されたのを皮切りに、コンディション不良で3回登録を外れている。大野も、沢村賞を獲得した昨季とは程遠い状態だ。

多くの人が忘れている「2020年の日程」

 筆者は、「菅野や大野の調子が悪くて勝利に貢献できないから代表から外した方がいい」と言っているわけではない。

「日本球界のエース級の投手2人に、オリンピックで過大な負荷をかける必要はない」と言っているのだ。

 私は、菅野と大野の調子が上がってこないのは、蓄積疲労の影響ではないかとおもっている。

 多くの人が忘れつつあるが、2020年のプロ野球は異常なシーズンだった。新型コロナウイルス禍で開幕が遅れ、試合数は減らしたもののシーズンの終了時期も大きく後ろにずれこんだ。

菅野智之 Ⓒ文藝春秋

 菅野と大野が最後に登板した日を、通常日程だった2019年と比較すると、2020年のシーズン終了がいかに大幅にずれ込んだのかがよくわかる。

菅野 2019年の最終登板10月23日→2020年の最終登板11月21日
大野 2019年の最終登板 9月30日→2020年の最終登板11月5日

 どちらも1カ月ほど最終登板が遅れている。とりわけ日本シリーズに進出した菅野は12月間近まで投げ続けていた。しかし今季のキャンプインは通常通りの2月1日で、開幕にいたっては3月26日と例年より少し早かったのだ。

 菅野のオフシーズンはわずか2カ月。シーズンの疲れを回復する時間が足りるとは思えない。2019年以降は故障も増えており、しかも今オフはメジャー移籍の可能性を模索したこともあり、短いオフがさらに削られていたことが容易に想像できる。

 大野もキャンプイン当初から状態が上向かず、早い段階で開幕投手の断念を首脳陣に伝えていたほどだ。

「体が壊れてしまう可能性がある」

 今シーズンの疲労の蓄積について、ソフトバンクの開幕投手を務めた石川柊太投手(29)は、キャンプイン前にこんな予言めいたことを口にしていた。

「(2021年シーズンは)体の状況を確認しながら進めていかないといけない。昨シーズンが終わったのが1カ月遅かった状況は変えられない。練習の質を上げたところで1カ月足りない事実はあるので、それを取り戻すには1カ月もらう必要がある。去年の疲れが取れているかどうかもわからない。そのなかで2月のキャンプ中から変に力んで入れ込みすぎれば、体が壊れてしまう可能性がある」

関連記事