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《東京五輪野球・侍ジャパン内定》外してあげるべきだった“2人の選手”とその理由

2021/06/26
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米国代表チームに“一流メジャーリーガー”は入らず

 もちろん阪神の青柳晃洋(27)や中日の柳裕也(27)など、短いオフシーズンを苦にもせず、好調を維持している投手もいる。疲労の蓄積にはプロで活躍してきた年数の差もあれば、個人の体質の違いもある。

 菅野や大野が優れた投手であることは間違いない。開幕から状態を上向ける努力をしてきたことだろう。稲葉監督も代表内定選手発表の記者会見で、「正直いま状態がそんなに良くない選手も、この1カ月で体の状態が上がってくると信じております」と発言している。

侍ジャパンの稲葉篤志監督 ©AFLO

 たしかに、本番で彼らが活躍する可能性は十分にある。菅野や大野はそれだけの力と責任感を持ち合わせた投手だからだ。

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 しかし筆者は、オリンピックの野球競技が本当にそこまで無理をして出る価値があるものなのか、とも思ってしまうのだ。

 オリンピックにはそもそも6チームしか出場せず、その代表もフルメンバーとは程遠い。5月から6月に行われたアメリカ大陸予選にでたアメリカ代表チームには、メジャーリーグの一軍に相当する「40人枠」に入った選手は1人も含まれていなかった。メジャーリーグは30球団あるので、つまりオリンピックは“世界のトップ選手1200人が参加しない大会”なのだ。

 世界のトップ選手1200人の中には、もちろん大谷翔平(26・エンゼルス)やダルビッシュ有(34・パドレス)、前田健太(33・ツインズ)や菊池雄星(30・マリナーズ)も含まれる。この世界一を決めると呼べるか怪しい大会に、コンディションに不安がある選手が無理を押して出場する必要が本当にあるのだろうか。

侍ジャパンに選出された中日の大野雄大 Ⓒ文藝春秋

優勝する姿は見たいが…

 もちろん筆者も、東京オリンピックで日本が金メダルを獲得する姿は見たい。そして優勝する侍ジャパンの中心に、これまでチームを引っ張ってきた菅野や大野がいるのは美しい結末だと思う。

 しかし、そのために2人のキャリアをリスクに晒すとしたらどうだろうか。巨人や中日のファンは、それに納得するのだろうか。

 プロ野球界を見渡せば、中日の柳など「いままさに絶好調」という若手投手も多い。金メダル獲得はそういった選手たちの力で成し遂げられるべきだと思う。

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 氏原英明氏は自らのYouTubeチャンネル「野球を通じて人生を楽しくするチャンネル」でも、侍ジャパンの選手選考について語っています。あわせてご覧ください。

《東京五輪野球・侍ジャパン内定》外してあげるべきだった“2人の選手”とその理由

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