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度重なる行政指導も無視。踏みにじられたプライド

 実は、警視庁がこのキャバクラを訪れたのは初めてではない。

 新型コロナ禍で歌舞伎町のネオンサインが次々と消えるなかで、深夜営業を続ける店をさすがに警察も見逃すはずがない。

 新宿署は昨年3月と11月にも午前1時以降、営業していることを確認。しびれを切らして行政指導をしていた。

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 だが、花音が指導に従うことはなかった。そこで乗り出したのが保安課だ。

摘発の様子を伝えるツイート

 

 保安課はわいせつ動画や違法賭博の取り締まりのほかに風営法も管轄し、「夜の街」の取り締まりのスペシャリスト集団を擁する。過去に一部世論の批判も浴びながら深夜営業するクラブの摘発を進めていたのも、この課だ。

 夜の街では客も店も心が緩み、さまざまな犯罪が身を潜める。捜査関係者にいわせれば、「営業時間はせめてもの歯止め」。その歯止めを軽んじる姿勢が、風俗街の守護神を自認する保安課のプライドを傷つけたのだろう。

 斧まで持ち出しての強制捜査は、保安課でいえば違法カジノの摘発ぐらいでしか普段はお目にかかれないもの。「憤り」が背景になかったとはいえないだろう。

警視庁 ©iStock

 そうした憤りを抱えながらも、課員の目は、捜索現場にないものも捉えていたに違いない。営業時間の指示をしていた可能性のある、一部では有名な女性オーナーの姿だ。