文春オンライン

【問われるYouTuberのモラル】深夜営業のキャバクラを「斧で破壊」 “カリスマYouTuber嬢”はなぜ摘発されたのか?

2021/06/25
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 6月23日夜、文春オンライン特集班は急事態宣言下の6月18日に人気YouTuber31人が集まって行われた「自粛破りの大パーティー」について報じた。

「このたびの当社クリエイターの行動につきまして、深くお詫び申しあげます。当社は、参加したクリエイターへの厳重注意を行いました。また、全専属クリエイターに向け、感染予防対策および責任ある行動について、引き続き指導してまいります」

 6月24日、人気YouTuberが数多く所属する事務所UUUMは「当社専属クリエイターの行動に関するお詫びとご報告」と題する文章を公式サイトで発表。同社所属の「水溜りボンド」のトミー、「アバンティーズ」のそらちぃ、ツリメらが同会合に参加したことについて謝罪した。また、同会合に参加していたあやなん、5人組人気YouTuber「コムドット」、関根りさ、古川優香らも自身のツイッターで謝罪した。

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 若者を中心にカリスマ的な人気を誇るYouTuberだが、近年彼らが引き起こすトラブルが多発している。動画の再生回数を稼ぎたいYouTuberの迷惑行為が刑事事件に至ったケースもある。なぜ、彼らは“暴走”するのか? 今回、緊急事態宣言下での会合が明らかになったことで、改めてYouTuberの「モラル」が問われているといえるだろう。

 そこで文春オンラインでは、YouTuberが引き起こした「事件」の記事を再公開することとした(初出2021年2月15日、肩書き、年齢等は当時のまま)。

 さながら過激派のアジトへの手入れだった。警視庁が斧を振りかざしながらドアを破壊し、捜索に入ったのは新宿・歌舞伎町のキャバクラ「花音」。この店、経営者は元キャバ嬢のカリスマユーチューバーでもあった。捜索容疑は営業時間を守らなかった疑いだが、警察はなぜ強制捜査にまで踏み込んだのか。

YouTubeで謝罪する桜井野の花(左)、右は公式HPに掲載された同一人物の写真

ドアを施錠して立ち入りを拒否

 一夜明けた入り口の姿が捜索のすさまじさを物語る。ドアにはガムテープがはりめぐらされ、その上に「緑茶」などと書かれた段ボールがドアの上半分を覆うように無造作にはられている。

 捜索があったのは2月1日の未明のこと。花音は新型コロナウイルス禍での営業時間の短縮に応じなかったばかりか、風営法で午前1時までと定められている風俗店の営業時間すら守らずオーバーしていたという。

「花音」の店舗ホームページより

 捜索に入った警視庁保安課も当初からドアを破壊するつもりでいたわけではない。当日、営業時間の行政指導の立ち入りに訪れたことを警察官が告げると、ドアを施錠して立ち入りを拒んだのだ。

 店内にいたのは従業員7人、ホステスが15人、男性客が13人。新型コロナに伴う時短営業であぶれた客が、灯火を求めて集まる夜虫のように集っていた。ドアに「感染防止徹底宣言ステッカー」がはってあったのは悪い冗談としかいいようがない。

摘発の様子を伝えるツイート

 

 機動隊員が斧でドアをぶち破ると、保安課はなかにいた従業員のうち店長の渡部圭介容疑者(36)以下6人を風営法違反(立ち入り拒否)容疑で逮捕した。だが、営業時間を超えることはむしろ風俗界では日常茶飯事。なぜ保安課は捜索に踏み切ったのか。